ヘッジファンドとは
ヘッジファンドとは「投資家から資金を集め、運用によって利益を追求する金融機関(サービス)」です。
調達した資金を、それぞれのファンドが独自の戦略・手法で運用し、利益を最大化をすることを目的としています。
ヘッジファンドの歴史を振り返ると、アルフレッド・ジョーンズ(Alfred Winslow Jones)という社会学者が1946年に設立したものがはじめと言われています。
A.ジョーンズが礎を築いたヘッジファンドには以下のような特徴が挙げられます。
・絶対収益の追求
・成果報酬
・多様な運用手法(ロング・ショートやレバレッジなど)
このような、特徴を持つヘッジファンドですが、1960年頃から急速に数を増やし、経済界・金融業界において欠かせない存在となります。
世界の経済に影響を与えるヘッジファンドも少なくなく、そういったファンドを率いる優秀なファンドマネージャ(ヘッジファンドの運用責任者)の発言には世界中の投資家が注目しており、ベンジャミン・グレアム(Benjamin Graham)、ジョージ・ソロス(George Soros)、ウォーレン・バフェット(Warren Edward Buffett)など、多くの著名な投資家も生まれました。
ヘッジファンドの特徴と投資信託の違い
ヘッジファンドの特徴を考えるにあたって、以下の3点について投資信託と比較しつつ見ていきましょう。
・絶対収益の追求
・成果報酬
・多様な運用手法(ロング・ショートやレバレッジなど)
「絶対収益の追求」とは、どのような曲面においても収益を追求するということです。
これは、運用の成果によって収益を得るヘッジファンドにとっては当然のことですが、一方で、世の中には”絶対的な”収益を追求しない運用も数多くあるのです。
その代表的なものが「投資信託」です。
例えば、相場が下げ基調(不景気)のときには、株価は概ね下がります。そういった市況において、市場全体の下げ幅よりも”相対的に”高い成果で十分とする投資信託も少なくありません。
特に、デフレ時などはその傾向が強く、「少し資産が減っているけども、周り(経済全体)と比較して相対的には損をしていないからOK」とすることも少なくありません。
特定の指標(TOPIXや日経平均などのインデックス)に連動するように運用される投資信託は、その傾向が顕著で、TOPIXが-10%のときには、-5%で運用している投資信託は十二分に成果が出ていることになります。
それとは異なり、どんな局面においても、資産が”絶対的”に増えるよう運用するのがヘッジファンドです。
景気が良くても、悪くても、市況が上向きでも下向きでも、必ず利益が得られる(プラスの成果が出る)ように運用することを目標とします。
また、運用による成果を追求するのがヘッジファンドなので、その報酬も運用の結果に基づく「成果報酬」が基本となります。
投資信託をはじめ、他の資産運用(プライベートバンクなど)では、運用の成果ではなく、運用することそのものが目的のため、報酬も「信託報酬」が基準となります。
予め決められたルールや、特定のテーマ(業種や業界、国や地域など)に基づいて運用するだけのため、手数料は安くなりますが、杓子定規の運用をするだけなので当然です。
一方のヘッジファンドは、成果を追求するため常に新しい判断が求められ、革新的なアイデアや着眼点の元、運用が常に刷新されていきます。ファンドごとにある程度の方針や戦略はあるものの、特定の手法に固執せず、常に改善が加えられます。
よりレベルの高いトレーディングが必要になり、相対的に手数料は割高になりますが、「成果」に対して支払うものなので相応とも言えるでしょう。
最後に、運用手法についても比較してみましょう。
投資信託は広く一般に開放されており、情報も公開されているため、運用の手法も一般的なものに制限されています。
ほとんどの投資信託は上場株式に投資するだけであり、あっても数倍のレバレッジをかける程度のものです。結果、月並みの成果しか得られず、また急な市況の変化にも対応できません。
一方のヘッジファンドですが、運用手法に制限がありません。
ロング・ショートのように売りと買いを組み合わせてリスクをコントロール(リスクヘッジ)することも可能ですし、高いレバレッジをかけてハイリスク・ハイリターンの運用をすること可能です。
「ファンド」という規模(資金力、組織力)を活かして、未公開株式(非上場の会社)に投資するものもあります。
運用の自由度が高い分、ファンドごとに特色があり、リスクもリターンも自在にコントロールできるのがヘッジファンドです。
ヘッジファンドと投資信託の比較まとめ
ヘッジファンド | 投資信託 |
絶対的な収益を追求する | 相対的な収益のため 市況によっては損失も許容 |
運用によって「成果」を得ることが目的 =>成果報酬 |
運用することそのものが目的 =>信託報酬 |
自由な運用 (ロングショート、未公開株式など) |
一般的な運用 (上場株式の売買がほとんど) |
ヘッジファンドのメリット・デメリット
ヘッジファンドのメリット
ヘッジファンドを活用するメリットは、投資のプロであるファンドマネージャに運用を依頼することができ、高いパフォーマンスが期待できることです。
相応の手数料は支払うことになりますが、それを差し引いても、トップクラスの運用成果を享受できることは十分に大きなメリットとなります。
また、運用を一任するため、運用の手間を必要としないのも一般の投資家にとってはメリットとなります。
株にしろ、投資信託にしろ、不動産にしろ、投資先の銘柄を選び、分析するのは容易ではありません。値動きをウォッチし、売買の判断をするのにも時間が必要になります、
株式投資で失敗する人で「時間が足りない、精神的にキツイ」というパターンも少なくありません。
こういった面の「コスト」が不要になるのも、ヘッジファンドのメリットです。
ヘッジファンドのデメリット
ヘッジファンドに運用を依頼するためには、最低でも1,000万円程度の資金が必要になります。
ヘッジファンドの出資の際には、面談や審査が必要な場合もあり、誰でも簡単に出資できるものではありません。株や投資信託と比較して「手軽さ」の面でハードルがあります。
また、一度出資してしまうと一定の期間資金を引き上げられないというデメリットもあります。資金が拘束(ロックアップ)される期間はファンドによってまちまちですが、最低でも数ヶ月〜1年は見ておいた方が良いでしょう。資産の「流動性」が下がるのです。
緊急時に必要な資金を手元に残しておかなければいけないことを考えると、「余剰資金」で1,000万円以上用意できる人にのみ許された運用の選択肢とも言えるでしょう。
ヘッジファンドで運用するには
このようにメリット・デメリットあるヘッジファンドですが、運用の手法は様々であり自分に合った(求めるリスクリーたんの)ファンドが見つかればこれ以上の運用の選択肢はありません。
興味のあるファンドがある場合には直接問い合わせる必要があります。
具体的におすすめのファンドについては以下のランキングページで詳しく紹介・解説しています。興味のある人はぜひ参考にしてみてください。