高収益を狙える投資手法でもあり、投資の知識や経験がない投資初心者でも「誰かに運用を任せる」ことで投資ができる手法として注目を浴びているものが「ヘッジファンド」です。
しかし、注目を浴びているとは言っても、日本での知名度・認知度はかなり低いのが現状です。
今回は、注目を集めつつもまだまだ認知度が低いヘッジファンドについて、投資信託と比較しつつ解説していきたいと思います。
なぜ知名度・認知度が低いのか
そもそも、ヘッジファンドが日本でそこまでメジャーではない背景から考えていきましょう。
高収益を狙える手法であるのにかかわらず、なぜファンドの知名度・認知度が低いかというと、単純にその間口の狭さに原因があります。
同じ「誰かに運用を任せる」手法として、日本だと最もメジャーなものだと思われる「投資信託」と比較してみましょう。
実際、投資信託を買っている人は周りにいても、ヘッジファンドに投資している人は見かけないということがほとんどではないでしょうか。
投資信託は「公募」であり、銀行や証券会社などで簡単に誰でも少額から始めることができます。
一方で、ヘッジファンドは一般に「私募」の形をとっており、まとまった資金を用意できる、機関投資家や資産家を対象としたものです。
投資信託と同じように、誰でも簡単に投資できるものではありません。
こう聞くと「会員制」のような形になっており、富裕層にしか手が出せないものという印象を受けますし、実際にそういうイメージを持たれている方も多いかもしれません。
一般の投資家には関係のないものとして、情報を遮断してしまいたくなります。
確かに超大手の海外のヘッジファンドであれば最低投資額が例えば1億円であったり、出資者の紹介を受けた人でないと出資できないファンドもあります。
しかし、実際には最低投資額も1億円のような高額すぎるものではなく1,000万円程度から出資できるファンドも存在します。
小さい金額ではありませんが、ある程度の収入で貯蓄を重ねている方であれば、手が届かないものではないでしょう。
また、出資者の募集においても、誰にでも営業の電話を掛ける「投資信託」などとは違いますが、ホームページなどから問い合わせることで出資を受け付けているところがほとんどです(ヘッジファンドは運用資産を増やしたいはずなので、出資を拒否する理由はありません)。
「会員制」で一般的には投資できないものというイメージは、ヘッジファンドに対して決して正しい認識であるとは言えません。
このように実は身近にあるヘッジファンドですが、似たようなものとして比較されがちな投資信託との違いについて整理していきたいと思います。
ヘッジファンドと投資信託の違い
投資信託とヘッジファンドの違いを以下にまとめました。
投資手法の違いなどもありますが、ここで一番注目していただきたいのは「収益目標」です。
ほとんどの投資信託は「金融市場の動向に沿って」運用していきます。
投資家から集めた資金はほとんどを株式や債券などに換えており、余剰資金が生じない運用手法を取ります。
そのため、金融市場の相場の状況に影響を受けやすい運用になり、収益目標も日経平均やTOPIXなど、一般的な経済指標に準ずるものになります。
ベンチマーク(基準となる指標)に対して、「相対的」に少し上回っている程度のパフォーマンスにしかならないため、大きな利益は期待できません。
特に、リーマンショックやコロナショックのように、経済全体が沈み込む時期には、それに合わせて多くの投資信託が大きく値を下げます。
投資信託の大多数が、経済情勢に左右されやすいということは覚えておいてください。
一方、ヘッジファンドは運用の自由度が高いため様々な投資戦略を取ることができます。
相対目標を持たず、市況と関係なく「絶対的に」高い収益を狙うのがヘッジファンドです。
そして、もう一つ注目していただきたいのが、「コスト」の部分です。
投資信託の場合、証券会社など販売会社に支払う購入時手数料に加えて、投資した資金から引かれる信託報酬など、中間手数料が多くかかります。
それに対して、ヘッジファンドは直接の契約のため中抜きされる費用がありません。
そもそも、投資信託は運用のパフォーマンスに関わらず、運用手数料のみでも利益を上げていくことができる形になっています。
これについても、ヘッジファンドでは、運用の成果に基づいた「成功報酬」が収益源となるため、運用側の資金を増やそうという姿勢は投資信託と比べてかなり強いものだということがわかります。
運用成績が自分たちの一番の信用問題になる側面もあるため、必死に運用し、実際、年15%や20%あるいはもっと大きな利回りで出資者に還元しているところも見受けられます。
これを機にヘッジファンドを資産運用の一つの手法として検討してみてはいかがでしょうか。