街を歩くとよく入口に「会員制」と掲げたバーを見かけます。
こういった看板や玄関を見ると
「ああ、この店は高級な店だ」
「何か特別なコネがないといけない店で、自分とは住む世界の違う人たちの飲んでいる店だ」
と思う人は多いかもしれません。
しかし、実際にはほとんどの「会員制バー」は全然「会員制」ではないことをご存知でしょうか?
玄関の入り口に「会員制」と貼ってあるのは店にもほかのお客様に迷惑をかけるであろう「泥酔客」や「暴力団関係者」などを断る口実を作るためにすぎないところがほとんどなのです。
そのため「お金をたくさんは持っていない人」を避けるためにこの看板を掲げているところは少ないのです。
※六本木や銀座などの一部の高級地には、「本当に会員制」のバーも存在します。
そのため、自分が一見客であることをお店に丁寧に伝えると、意外とすんなりと入れてくれることも多いようです。
そこでしっかりと大人な飲み方をし、ある程度お金も普通に使う客だと分かれば、お店側が「またお越しください」と言ってくれたり、そのお店とつながりのある別の会員制バーも紹介してくれたりします。
つまり「会員制バー」は思っているほどハードルの高いものではなく、実は誰でも利用できるものなのです。
そして、この「会員制バー」に入店できると、普通のバーや居酒屋に比べて、利点もあります。
例えば、そういったお店には泥酔客は少ないでしょう。
上品にお酒を嗜む”少し裕福な”お客さんが多いのも事実であり、普段の店ではあまり関わりのない世界の人たちとの接点も増え、自分の知見を広げることもできるので好んで利用する人が多いようです。
投資の世界にもある「会員制」
この「会員制バー」の話を「投資の世界」に当てはめてみましょう。
投資の世界において、この「会員制バー」に当たるものが「ヘッジファンド」です。
ヘッジファンドに対する多くの投資家のイメージとして
① 最低投資額が高い
② 一般公募をせず「私募」で出資者を募っている
ものというものがあります。
これを、
1. お金を持ってないと相手にしてもらえず
2. お金持ちの特別なコネがないと紹介もされない
というハードルが高いもののように「誤認」してしまってはいませんでしょうか。
確かに海外の超大手ヘッジファンドであれば、「最低投資額が例えば1億円」であったり、出資者の紹介を受けた人でないと出資できないファンドもあります。
しかし、これは先述の「会員制バー」の例に当てはめると、銀座や六本木などの高級クラブに等しいごく一部のものです。
実際には、「街場の会員制バー」のように“実は”ハードルの低いヘッジファンドも存在しています。
最低投資額も1,000万円、少ないものだと数百万円からといったような金額で募っているファンドや、出資者の募集においても、ホームページなどから問い合わせれば投資を受け付けるところもあります。
これも「一見客ですが大丈夫ですか?」と聞けば入店させてくれるバーと近いものがあります。
つまり「ヘッジファンド」の中には、一般的なイメージとは違い、間口を大きく広げているファンドも数多く存在するのです。
ヘッジファンドの利点
ヘッジファンドは例に挙げた「会員制バー」のように多くの利点があります。
例えば、「個人が買えない商品に投資できる」という点が挙げられます。
個人では投資できないような海外の証券や、まとまった資金がなければ手を出せない金融商品にも、ファンドを介することで間接的に投資することができます。
また、ファンドを介することで、間接的な「分散投資」にもなります。
値上がりしそうな株と値下がりしそうな株を同時に買ったり、安定している株と大きく上がるかもしれないがリスクもある株を同時に買うことで、様々な市場の動きに対応したポートフォリオを組むことができるのです。
リスクを上手くマネジメントできるのもヘッジファンドの大きなメリットの一つです。
そして、ヘッジファンドに運用を任せてしまえば、自身が常に相場を監視する必要もなく、時間的・精神的な余裕を持って資産運用に臨むことができるでしょう。
こうした利点を多く持っているヘッジファンドでは運用成績が自分たちの一番の信用問題になりますが、一般的に、年+5~10%程度のリターンが期待できると言われています。
このように一見、ハードルが高く自分とは世界が違うと感じてしまいそうなヘッジファンドですが実際には間口を広げているところが多いのです。
会員制バー同様、勇気を出してその扉を開けてみると今まで知らなかった投資の世界が待っているかもしれません。