50歳からの資産運用 投資信託 ファンドってなに?仕組みやメリット・デメリットから、ファンド選びのポイントまでをフル解説!

ファンドってなに?仕組みやメリット・デメリットから、ファンド選びのポイントまでをフル解説!

最近よく耳にするようになった「ファンド」ですが一体どのようなものなのでしょうか?
一般的な投資信託との違いや、ファンドで運用するメリット・デメリット、様々なファンドの特徴まで、基本的なことから解説していきたいと思います。

投資信託
ファンド
最終更新日:2023年01月10日

ファンドとは

 

ファンドとは、元々は「基金」の意味がありましたが、現在一般に金融の世界でファンドというと、投資家から資金を集め、まとめて運用する機関(組織)やシステムのことをさします。

 

広く一般から資金を調達する「公募」ファンドの代表格は、なんといっても投資信託です。

一方で、広報活動などを行わず、証券会社にも卸すことなく、一部の投資家のみから資金を調達する「私募」ファンドとしては、プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)ヘッジファンドが代表格です。

 

ここでは、公募・私募に関わらず、全てのファンドに共通するポイントと、様々なファンドの種類が持つ個別の特徴を順を追って見ていきましょう。

 

 

ファンドの仕組みと特徴とは

 

先述の通り、ファンドとは複数(たくさん)の投資家から資金を募り、それらの資金をまとめて運用・利益を得ることを狙います。

 

運用の仕方はファンドによって異なり、例えば、PEファンドは未上場株に投資し、企業価値の向上に貢献することで大きな利益をあげることを目指します。

新興企業に投資(資金援助)する「VC(ベンチャーキャピタル)」もPEファンドの一つです。

 

他にも、株や様々なオプションを駆使して、どんな局面でも利益を追求する、絶対利益追求の「ヘッジファンド」や、特定の国や地域、業界などに投資する投資信託、債券などで粛々と運用するものなど様々なものがあります。

 

募集や運用の仕方にこそ違いはあれど、いずれも利益の一部から手数料を取り、出資金以上の金額を返して、投資家にリターンを提供するというのが、ファンドに共通するスタイルです。

 

このファンドというビジネスモデルには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょう。

投資家・ファンド双方の視点から考えていきたいと思います。

 

 

投資家にとってのメリット・デメリット

投資家にとってのメリットは大きく2つあります。

 

その1つが自己資金では到底不可能な規模の投資(運用)ができるという点です。

ヘッジファンドはたくさんの投資家から集めた資金を「まとめて」運用します。

 

ファンドの運用は数十億〜数百億円規模にも及びますが、一般の個人投資家がこのレベルの運用をするのは不可能と言ってよいでしょう。

しかし、ファンドという仕組みを活用することで、数百万〜1,000万円程度でこの巨額の運用に乗ることができます。

 

運用の規模が大きくなるというのは、単に選択肢が増えるだけではありません。

複数の企業・領域に投資することが可能になるため、より柔軟なポートフォリオを組むことが可能になります。

ポートフォリオの柔軟性が増すということは、リスクやリターンのバランスを自在にコントロールできるということです。

 

運用資金が増えるということは、より大きなところに投資できるというだけでなく、運用の質も高めることができるのです。

この「自己資金ではできない規模の運用ができる」というのがファンドを活用するメリットです。

 

また、一般の投資家にとって、プロのファンドマネージャに運用を任せられるという点も大きなメリットになります。

先ほどポートフォリオを複雑にすることで、リスクやリターンのバランスをコントロールできると述べましたが、これは金融に関する深い知識や投資のテクニックが必要になります。

 

つまり、仮に大きな資金があったとしても、投資家の実力が伴っていなければ、その規模を十分に活かしきれないのです。

 

ファンドマネージャは、投資の専門家でありプロです。

このプロの運用レベルをそのまま享受できるという点が投資家にとっての2つ目のメリットです。

 

一方で、ファンドに運用を依頼(=出資)するということは、手数料(報酬)をファンドに支払わなければいけません。

もし、自分で同じような運用ができるのであれば直接投資した方が、手元に入るリターンは大きくなります。もちろんプロと同レベルの運用をするのは簡単ではありませんし、資金力の差がある分、同じレベルの運用は実質的に不可能です。

 

また、ファンドという機関を介することで、投資のスキームは複雑になります。

ファンドの中には、また別のファンドに投資することで運用しているものもあるのです。

また、リスク・リターンをコントロールするために、複雑なポートフォリオを組んでいたり、難しいオプション取引をしたり、デリバティブ(金融派生商品)に投資していることがあります。

 

ポートフォリオが複雑になること自体は悪いことではありませんが、一般投資家の中には、自分がどんなものに投資しているのかわからなくなってしまう人もいるでしょう。

投資が複雑になりすぎないよう、ファンドを活用する際に気をつけなければいけません。

 

投資家のメリット
・自己資金以上の規模の運用ができる
・プロの運用に乗っかれる

投資家のデメリット
・手数料分リターンが減る
・スキームが複雑になることがある

 

 

ファンド側のメリット・デメリット

ファンドを組成するということは、もちろんファンド側にもメリットがあります。

 

ファンド側も、投資家同様に自己資金以上の運用ができるという点が1つ目のメリットです。

世の中にあるファンド(投資信託)の多くは、その運用規模(純資産総額)が10億円を超えていますが、それらのファンドが自己資金としてそれだけの額を調達できるかというとそうではないでしょう。

資金を集められるというのはファンド側にとっても大きなメリットなのです。

 

また、手数料収入が得られるという点も、ファンド側のメリットの1つです。

運用益に準ずる成功報酬はもちろんですが、一般的なファンドは、成功報酬とは別に「信託報酬」も収入となります。

 

一方で、他者(投資家)の資金を運用するわけですから、勝手気ままに自由に運用して良いわけではありません。

一般的に、ファンドは「どんな投資戦略なのか」「どんな手法を用いるのか」「どの程度のリスク・リターンを目指すのか」などを投資家に対して明らかにしています。

投資家は、その運用方針に応じて、各々が「良い」と判断したファンドに資金を投入しているので、当初の予定とかけ離れた運用をすることはできません。

 

当初のプランと離れてしまうと、投資家が離れてしまう可能性もありますし、公募である投資信託などはそもそも「投資信託説明書 (交付目論見書 )」の交付が、金融証券取引法(金商法)によって定められています。

このようにファンド側にも、メリット・デメリットは存在します。

 

ファンドのメリット
・自己資金以上の投資ができる
・成功報酬に加え、信託報酬も受け取れる

ファンドのデメリット
・運用手法に制限が加わることがある
・資金が引き上げられてしまう(投資家が離れてしまう)リスクがある

 

 

代表的なファンドの種類

 

このように投資家・ファンド双方にとってメリット・デメリットがある「ファンド」ですが、ファンドの種類は「運用方針」や「公募/私募」などによって、いくつかの種類に分けることができます。

そこで、ここでは代表的なファンドの種類である以下の4つについて、その概要や特徴を解説していきます。

・投資信託
・ETF
・ベンチャーキャピタル
・ヘッジファンド

 

 

投資信託

投資信託が最も一般的なファンドの形式でしょう。投資にほとんど興味のない人でも一度は耳にしたことがあるかと思います。

銀行や証券会社で取り扱われており、1万円や1,000円といった少額から始められることで、広くたくさんの投資家の間で広まっています。

種類も非常に多く、数千種類を超えており、選択肢は十二分にあると言えるでしょう。

 

「少額から」「周りもやっているから」とついつい気軽に始めてしまいそうになる投資信託ですが、選択肢が多いということは、それだけ選ぶ手間がかかるということです。

また、投資信託は、銀行や証券会社が投資家に寄り添っているわけではないという問題も抱えています。

 

詳しくは以下の記事で解説しているので、興味のある方は是非ご一読ください。

➡︎ 本当に頼りになる投資アドバイザーは誰か!?銀行や証券会社に相談してはいけない3つの理由
➡︎ 投資信託だけは買ってはいけない3つの理由 − 金融のプロはどうやって儲けているのか

 

 

ETF

ETF(Exchange Traded Fundとは、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託のことです。

一般の投資信託と異なり、株などのようにリアルタイムでトレード(売買)でき、また「購入手数料なし」「信託報酬も安い」といったメリットがあります。

※一般の投資信託にも、購入手数料のかからない「ノーロード」のものは存在します。

 

ETFは、TOPIXやS&P500、日経225などといった特定の指数に連動するように運用され、市場(マーケット)投資に特化したファンドの一種と言えるでしょう。

 

著名な投資家などから高く評価されているETFですが、手数料や仕組みが優れているからと言って、決して簡単に運用できるというものではありません。

ETFで運用する際に気をつけなければいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しているので、興味のある人は是非参考にしてみてください。
➡︎ ETFで運用するのが良いって本当?素人が手を出してはいけないETF運用の落とし穴とは

 

 

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(Venture Capital, VC)とはベンチャー企業(未上場企業)に投資することで、収益を上げることを目指すファンドのことを指します。

一般的には、株式を取得し、上場(株式公開)させることで大きな「キャピタルゲイン」を狙う戦略を採ります。

 

ベンチャー投資は、1つの取引が成功する(上場にこぎつける)と、一気に数倍〜数十倍のリターンを得ることができますが、一方で、事業が上手くいかない企業も少なくなく、ハイリスク・ハイリターンな投資として知られています。

 

一般的な株式投資と異なり、「株を取得(資金を投入)して終わり」ということは少なく、経営に参入するなど企業価値の最大化に積極的に寄与することで、リターンをより確実なものにしていきます。

 

投資家の中には「エンジェル(投資家)」と呼ばれる人たちも少なくなく、ハイリスク・ハイリターンで、事業の見極めが難しいことからも、機関投資家などに好まれているファンドの一つです。

 

 

ヘッジファンド

ヘッジファンドは、投資家から資金を募るファンドという点において、最もシンプルなファンドの形態でしょう。ファンドの中でも、募集形式が「私募」のものをヘッジファンドと呼びます。

 

ヘッジファンドは、運用方針こそ様々ですが、「絶対利益」を追求しどのような相場局面であっても収益を上げることを目標に運用します。

相場に結果が左右されにくいという点では、長期投資に向いており、難しく考える必要もあまりないため(相場によって投資家が判断を迫られることも少ないため)、投資初心者に向いていると言えるでしょう。

 

ファンドにもよりますが、リスクを最小化しているファンドでも、一般に年5~10%程度のリターンが期待できると言われています。

 

ただし「私募」であるがゆえ、最低出資金が高くなるというハードルがあります(最低でも1,000万円前後です)。

投資に明るくはないけれども、資金は十分にある富裕層に向けたファンドの形式になります。

 

 

ファンド選びの際に気をつけたい3つのポイント

 

このように様々なタイプがあるファンドですが、優れたファンドはどのようにして見極めれば良いのでしょうか?

ファンド選びの際に見極めるべきは、

・運用手法(投資戦略)
・運用者(ファンドマネージャ)
・手数料

の3点です。

どのような点に気をつければ良いのか、それぞれ見ていきましょう。

 

 

運用手法(投資戦略)

運用手法(投資戦略)はファンドの”肝”です。

ファンドの戦略を見極める際には、「どんな領域(業界、国や地域)」にて運用するのかが気になるかと思います。

 

ご自身の中に

「AI、ロボットの領域に投資したい(今後伸びる気がする)」
「東南アジアに投資氏したい(今後の経済成長を期待している)」

などの考えがあるのであれば、近い戦略を採用しているファンドを探す必要があります。

 

この「投資先」に目が行きがちですが、もう一つ考えなければならないのは「運用のプラン」です。

同じ国や地域、業界に投資していても、「短期的にハイリターンを狙う」ファンドもあれば、「長期間じっくりと低リスクで運用する」ファンドもあります。

 

投資戦略を見極める際には、ファンドの「意向」や「方向性」、特に「リスクとリターンの目標レベル」をしっかりと確認するようにしましょう。

 

 

運用者(ファンドマネージャ)

ファンドが「どのように(手法・戦略)」運用するのかが重要だと述べましたが、もう一つ「誰が」運用するのかも非常に重要です。

 

ファンドの中でも投資信託やETFは、「誰」が運用しているのかなど、ほとんどわかりません。運用会社の一職員が指示通りの売買を担っているのが関の山でしょう。

一方で、VCやヘッジファンドは、一流の金融機関(外資系投資銀行など)の出身者がファンドマネージャを務めるなど、投資のプロが運用を担います。

そして、その人の「腕」によって、運用の成績が大きく左右されます。

 

どんな人が投資をしているのか気になる場合は、HPや資料などで調べるだけでなく、その人が登壇するセミナーなどに参加してみてもいいかもしれません。

またヘッジファンドなど小規模なものは、直接会って話ができないか問い合わせてみてもいいでしょう。

 

直接会って確認することで、自分が「どんな人にお金を預けるのか」は確認しておいて損はありません。

 

 

パフォーマンスと手数料

手数料は確かに重要なポイントです。運用の成果と同じように、リターンに直接関わってきます。

しかし、目先の手数料の大小に、振り回されてはいけません。

例えば、

・ファンドA:運用益(パフォーマンス)15% – 手数料 5% = リターン 10%
・ファンドB:運用益(パフォーマンス)5% – 手数料 2% = リターン 3%

では、手数料が倍以上も高いファンドAの方がはるかに高いリターンを得ることができます。

 

手数料はあくまでも一つの目安であり、それを最優先に判断しないことが重要です。

大切なのは、最終的にあなた(投資家)が得られるリターンなのです。

 

手数料について確認した方が良いポイントは「手数料が明確になっているかどうか」です。

表面的に全て説明されているように見えても、中間マージンなどがかかっている場合もあり、市場でのリターンが投資家に反映されるまでにどの程度のコストが発生しているのかをきちんと把握することができないものもあります(一般的な投資信託などがまさにその代表例です)

 

ファンドの手数料を確認する際には、その大小に惑わされることなく、しっかりと明朗に把握できるかを確認しましょう。

 

 

さいごに

 

ここまで説明してきたように、ファンドにはメリット・デメリットがありますが、資金力さえあれば、手間なくプロレベルの運用成果を享受できる運用方法として、特に投資初心者にもおすすめできます。

 

しかし、特に私募でありあまり情報のないヘッジファンドについて、詳しく知っている人は少ないでしょうし、あれこれと有名どころを知っている人も少ないでしょう。

 

そこで、当サイトでは、おすすめのファンドをランキング形式で紹介しています。

それぞれのファンドについて特徴やポイントなどを整理して紹介しているので、ファンドでの運用に興味のある人は是非参考にしてみてください。

 

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