50歳からの資産運用 株を買うってどういうこと?企業が上場する目的と株主になる意味を徹底解説

株を買うってどういうこと?企業が上場する目的と株主になる意味を徹底解説

投資を通じて、株を持っている(買っている)人はたくさんいると思いますが、そもそも株を買う=株主になる、ということの意味をきちんと理解できていますでしょうか。
ここでは、そもそも会社が上場する本来の意味や、株主になるということの本質を見直し、株式投資のあり方を改めて考えてみましょう。

ファンド
最終更新日:2023年01月10日

株式投資は株主になるということ

 

投資の中でも最もメジャーなものの一つに、株式投資があります。

「投資=株」のイメージがあるほど一般的ですが、皆さんは株式投資の本来の意味をきちんと理解しているでしょうか。

 

株価は日々変化(上下)しています。1,000円で買った銘柄の株価が、1,100円に上がれば100円の得(利益)を得ることになりますし、反対に900円に下がれば100円の損をすることになります。

 

株式投資の本質はこれだけです。

たくさんの株を取引すればそれだけで利益も損失も大きくなりますし、売買取引を繰り返す頻度、取引する株の組み合わせ(ポートフォリオ)などによって、リスクやリターンをコントロールします。

 

「株を買う」というと、ほぼイコールとして「株式投資をする」という意味合いになってしまいますが、そもそも株を買うということは「株主になる」ということであり、その会社の所有者になるということです。

 

つまり、投資目的であれ、なんであれ、その会社の株を取得する(買う)ということは、その会社のオーナーになるということに他なりません。

稀に、会社は社長(経営者)のものと勘違いしている方もいますが、彼らは株主の代わりに経営を担っているにすぎません。

※もちろん大株主である経営者も大勢いますが。

 

本来、株を買うということは、その会社に資金を提供しているということであり、株主は、会社の事業によって得られる利益を受け取る(享受する)立場にあります。

そこで得られる(還元される)ものの代表的なものが、「配当」や「株主優待」であり、株を買う人の中には、この株主としての立場を求めている人も少なくありません。

自分の勤めている会社や好きな会社の株を買う人がいるのはそのためです。

 

また、株主は、会社の経営に口を出す権利があります。

大企業の場合、個人が株を買っても、議決権(全体に対する割合)が小さすぎるため、ほとんど実感することがありませんが、株主総会に出る権利もありますし、株主として企業が開示しなければならない情報を知ることもできます。

 

もちろん、この「株主の権利」と「株価の上下による損得」は切り離せませんが、株式投資を通じて株を買うということの裏には、売買の利益以上の意味があるのです。

 

 

そもそもなぜ企業は上場するのか

 

一般的に、私たち投資家は上場している企業の株しか取引できませんが、そもそもなぜ企業は上場するのでしょうか。

最近では、ソフトバンクの上場(IPO)が話題になりました。

関連ページ:
▶︎ ソフトバンク上場で大儲け!?IPO投資で高確率な利益を得る方法とは

▶︎ ソフトバンク上場はどうだったのか。話題のIPO投資の結果を振り返る
▶︎ IPO投資は本当に必勝法なのか?仕組みと裏付けから、リスクや実践方法を検証する

 

「上場=企業の成功、大企業の証」と勘違いしている人もいるようですが、株式会社が上場することは、会社のゴールでも成功の証でもありません。そもそもの上場することの意味や価値について考えてみましょう。

 

上場することのメリット・価値

会社が上場する最も大きな目的の一つは、資金調達です。

企業が上場すると、その会社の株を、市場でたくさんの投資家が求めるため、企業は「発行している株式 × 株価 = 時価総額」分の資金を手にすることができます。

利息が発生し、返済の義務がある銀行からの借り入れなどとは異なり、より大きな資金を一気に手に入れることができるのです。

 

上場には審査や基準があり、経営体制や、事業規模、財務が健全であるなど、様々な条件を満たさなければ上場できません。

「上場企業」という肩書きはそれらをクリアしている証であり、社会的に認められたことになります。

そのため、上場すると、社会的な信用も増し、知名度も飛躍的に向上するため、会社のブランド力は圧倒的に高くなります。採用や取引においても有利になるでしょうし、さらなる発展にも繋がるでしょう。

 

また、上場すると、会社の創業時から株を取得しているメンバーは、自分達が持っていた株を、ありとあらゆる投資家がお金を出して買ってくれます。

上場することで、創業者達は、大金を手にすることができますし、「会社を社会的に成功させた」というステータスも得ることができます。

 

そのため、たくさんの人たちが、会社の上場をゴール(目標)にしたり、上場させた人をもてはやしたりしますが、上場の本来の目的は資金調達や社会的信用の裏付けなのです。

 

 

上場することのデメリット・リスク

このように上場することには様々なメリットがありますが、一方でデメリットやリスクもあります。

 

例えば、市場(マーケット)で誰でも株を買うことができるため、買収されるリスクが高まります。

もちろん「上場=即買収」ではありませんが、非上場(未公開)の企業と比較すれば、そのリスクの高さは明らかです。

上場していなければ、株を大量に買いたい=経営権を取得したい=会社を買収したい、という人がいたとしても拒否することができますが、市場に出てしまうと、買いたい人を拒否することができません。

 

また、買収ほど規模の大きな話でなくとも、株主に対する説明責任や社会的責任も増加します。そのために、経営が不必要に重くなったり、社内の管理コストが増加したりすることも考えられます。

上場することはメリットばかりではないのです。

 

 

意外な非上場企業  – 上場だけがゴールではない –

 

このようにメリット・デメリット合わせ持つ「上場」なので、意外な企業が上場していないこともあります。

資金を調達や、ブランド力を高める必要ない企業は、あえて上場しないこともあるのです。

 

有名企業=上場企業、と勘違いしている人のためにも、意外な非上場企業を挙げてみましょう。

・ロッテ:お菓子の製造、販売
・サントリー:ビールや清涼飲料水など様々な飲料を製造、販売
・アサヒ飲料:ビールや清涼飲料水など様々な飲料を製造、販売
・カルピス:乳酸菌飲料の取り扱い
・エースコック:即席麺やスープ、調味料などの製造、販売
・ミツカン:ポン酢などの製造、販売
・YKK:業界シェア世界一のファスナー製造
・大創産業:100円ショップの「ザ・ダイソー」を展開
・竹中工務店:東京タワーやミッドタウンなどを手がけた建設会社(ゼネコン)
・JTB:大手旅行代理店
・日本生命:保険業
・明治安田生命:保険業
・佐川急便:運輸業
・小学館:出版
・朝日新聞:『朝日新聞』の発行
・富士ゼロックス:オフィス複合機の開発やオフィスコンサルティング

 

いかがでしたでしょうか。意外な企業が上場していないことを知って驚いた人もいるでしょう。

また海外でも、老舗時計ブランドの「ロレックス」や、おもちゃの「LEGO」、世界一のコンサルティングファームと名高い「マッキンゼー」、「IKEA」や、あの「Facebook」も上場していません。

会社は上場していればよいというものでもないのです。

※2019年5月15日時点の情報です

 

 

非上場の企業に投資することもできる

 

このように、非上場の企業の中にも、優れた企業は数多く隠れています。

日本国内に限ったとしても、上場企業が約3,600社(それでも十分多いですが)なのに対し、株式会社は実に250万社も存在します。

つまり、世の中の会社の99.8%は上場していないのです。

 

もちろんその中には、経営が不健全な企業や、上場に至らない小さな企業もたくさん含まれていますが、老舗企業の多い日本では、先に紹介したような優良企業もたくさん存在します。

 

そこ(非上場)に視野を広げることで、投資の選択肢は格段に広がります。

非上場企業に投資する(未公開株)を取得するには、株主と直接やりとりをし、相対取引で株を取得する必要があるため、上場企業に投資するよりは、難易度がグッと上がりますが、投資の選択肢を広げることで、優良企業を見つけられる可能性も高くなります。

 

とはいえ、突然押しかけたところで資金もあまりない個人投資家との取引を受け付けてくれることは少ないでしょう。企業やその創業者と直接やりとりする場合、数億円単位の取引になることもしばしばです。

 

一般の個人投資家が、非上場企業に投資する方法としては、未公開株式を取得するファンドを経由して、間接的に投資する方法も考えられます。

トータスパートナーズなどは、その代表的なものなので、興味のある人は一度調べてみても面白いかも知れません。

▼おすすめファンドランキングはこちら