金利の高さに惹かれて「円で預金していては勿体無い!」と外貨預金を始めようと考えている人も少なくはないでしょう。
しかしながら、為替差益で大きな得をするというのは数年前までの話。今では、ドルを始めとする主要な先進国の通貨の多くが低金利なのが現状です。
とはいえ外貨預金ならではのメリットがあるのも事実です。
今回は、外貨預金を始めようかと検討中の方へ向けて、そのメリットとデメリット、特に気をつけておきたい外貨預金の落とし穴について詳しく解説していきます。
外貨預金のメリット
とはいえ、外貨預金が流行していたのには、それなりの正当な理由があります。
まずは、
・為替差益で儲かる
・金利が高い
・経済情勢に詳しくなる
という、外貨預金の3つのメリットについて順を追って確認していきましょう。
1. 為替差益で儲かる
言わずもがな、外貨預金の最大のメリットは「為替差益」です。
日本の銀行の金利の低さにはみなさん薄々お気づきかと思いますが、雀の涙ほどの利息のために円預金を続けるメリットは無いに等しいと言えます。
為替差益を狙うには、円高の時に外貨預金を行い、円安になったタイミングで円に戻すという手順が基本です。
くれぐれも円安のタイミングで預けないように注意してください。
また、世界の経済情勢にも目を配ることが大切です。超円高だからと言って軽々しく外貨預金を行うと、逆に損してしまうという場合もあります。
円高の底値を冷静に見極めて、預金するタイミングを判断するのが重要になってきます。
2. とにかく金利が高い
日本円での預金を行なっている場合、年間の金利は0.01%以下というのがほとんどです。時間外にATMを数回利用しようものならあっという間に利息分は消化されてしまいます。
こうした円での預金事情に対して、外貨預金では、南アフリカランドやニュージーランドドルといった通貨がかなりの高金利で取引されています。
国家情勢の安定という視点から見ると、オーストラリアドルもおすすめです。しかし「金利が高い」という理由”だけ”で通貨を選ぶと、損をするリスクも増えてしまうので、気をつけなくてはいけません。
この点は、後ほどのデメリットの一つとして解説していきます。
3. 経済情勢に詳しくなる
外貨預金で失敗しないために必要不可欠なのが、「小まめな情報収集」です。社会情勢や世界経済の変化は、為替の値動きに大きな影響を日々もたらしています。
自分がどこの国の通貨でどのくらいの割合で預金を行なっているのかを念頭に置いた上で、新聞やインターネット、テレビなどでなるべく毎日情報収集を行うことをおすすめします。
余力があれば、その国の現地のニュース番組を視聴するのもいいでしょう。
また、経済事情に対して常にアンテナを張っておくのももちろん大切ですが、「情報収集がしやすい外貨」を選ぶということも大きなポイントとなります。
外貨預金のデメリット
様々なメリットがある一方で、外貨預金にはそれ相応のデメリット(リスク)も存在します。
ここでは、
・為替手数料がかかる
・元本割れのリスクがある
・カントリーリスクがある
という3つのデメリットを順に解説していきたいと思います。
1. 為替手数料がかかる
外貨預金は高金利だからと言って「得をする」のかというと、そこまで簡単な仕組みではありません。
銀行で外貨預金する際、また、預金してある外貨を円に戻す際に「為替手数料」がかかります。
金額は銀行や利用する通貨によって違いますが、パソコンを使って自ら情報収集を行い、基本操作は自分でできる自信があるという人は、ネット銀行を利用した方が断然お得になります。
また、外貨預金を行なっている間は、銀行に対して年間数パーセント(取り扱う通貨や銀行によって数値は変わります)の手数料が金利から引かれているという点も忘れないようにしましょう。
2. 元本割れのリスクがある
預けた外貨を円に戻した際、元々預けた金額(元本)よりも少ない金額、つまり赤字になってしまうことを「元本割れ」と言います。
今後円安になるだろうというタイミングで外貨預金を行うというのが基本ですが、リスクを分散させたい人は、お金を預けるタイミングと通貨選びの際に少し工夫をしてみると良いでしょう。
タイミングに関しては、一度に全てのお金を預けるのではなく、少しずつ外貨預金を行なっていくという方法があります。
これなら、一部のお金を預けたタイミングで円高になってしまったとしても、手元に残ったお金を更にベストなタイミングで外貨に変えて預金できます。
また通貨を選ぶ際にも、値段の振れ幅が大きいものとそうでないもの(比較的安定しているもの)など複数の種類を選んで同時に預金を行う(分散投資のポートフォリオを組む)ことで、ある程度のリスクを回避できます。
3. カントリーリスクがある
戦争やテロなど、政治や社会・経済状態の変化によって為替市場が混乱に陥り、投資した分の資産が回収できなくなったり大きな損害を被ることになってしまう危険性のことを「カントリーリスク」と言います。
金利が高いという理由だけでその外貨を投資先として選ばない人が多いのは、このカントリーリスクを考慮してのことです。
どのような形の投資においてもリスクは付きものですが、外貨を選ぶ際には金利だけでなくその国の情勢についてもしっかりとチェックしなければなりません。
外貨預金の落とし穴 -高金利キャンペーンについて注意しておきたいこと-
このように様々なメリット・デメリットがある外貨預金ですが、ここで、多くの人が陥りがちな外貨預金の落とし穴について解説します。
今から外貨預金を行おうとしている方は、どの銀行を利用するか検討する際に、「金利がずば抜けて高い金融機関」を発見することがあるかもしれません。
こうした場合、高金利キャンペーンの数値を提示しているものがほどんどですが、そこに落とし穴があります。
高金利キャンペーンの落とし穴はその「適用期間」です。
提示されている金利が適用されるのはわずか数ヶ月で、利息の全額を考慮すると微々たる合計にしかならない…というものが実際かなり多いのです。
キャンペーンの数字に踊らされるのではなく、どれくらいの利息を年間で受け取れるのか冷静に計算し、どの金融機関を利用するか決めるようにしてください。
結局どの通貨を選ぶべきなのか
さて、外貨預金についての知識が一通り備わったところで、いよいよ「どの外貨に投資するのか」を吟味していきたいと思います。
米ドルやオーストラリアドル以外にもよく取引に使われる外貨は数種類存在します。
もちろんそれぞれメリットとデメリット、金利の違いがあります。この部分の選択は自分の条件にあったものを確実に行なっていきたいものです。
米ドル(USD)
▶︎ アメリカの通貨
▶︎ 全世界の基軸通貨として知られ、外貨預金が初めてという人向き
▶︎ 情報収集がしやすく、値動きの判断も比較的容易
豪ドル(AUD)
▶︎ オーストラリアの通貨
▶︎ 先進国の通貨の中では珍しく高金利である
▶︎ 為替相場の値動きは大きいが、国の情勢は安定している
ニュージーランドドル(NZD)
▶︎ ニュージーランドの通貨
▶︎ 豪ドルと同じく先進国の中では珍しい高金利の通貨である
▶︎ 豪ドルとよく似た値動きをする
ユーロ(EUR)
▶︎ イギリス以外のEU主要国にて統一された通貨
▶︎ 世界的に見ても米ドルの次に取引量の多い通貨である
▶︎ 信頼性は高いが普通預金の利率は低い
ポンド(GBP)
▶︎ イギリスの通貨
▶︎ 円の次に取引量の多い通貨である
▶︎ 非常に値動きが大きく荒いことで知られており、金利もそれほど高くない
スイスフラン(CHF)
▶︎ スイスの通貨
▶︎ 金利は他の外貨と比較してもやや低め
▶︎ 大きな為替差益は狙えないが、低リスクを好む安定志向の人にはおすすめの通貨
カナダドル(CAD)
▶︎ カナダの通貨
▶︎ 国内の経済、政治情勢は極めて安定している
▶︎ 8割もの輸出をアメリカに行っているため、アメリカの影響を受けやすい通貨と言える
南アフリカランド(ZAR)
▶︎ 南アフリカ共和国の通貨
▶︎ 新興国通貨(エマージング通貨)のため非常にリスクが高い
▶︎ 金利は他の通貨に比べ非常に高いが、為替相場の値動きが大きい
香港ドル(HKD)
▶︎ 香港の通貨
▶︎ 米ドルと連動した値動きだが、米ドルより金利は低い
▶︎ アメリカや中国の影響を受けやすい通貨
こうして見て見ると、通貨ごとにそれぞれ”個性”があり、どのような目的で外貨預金を行うのかによっても選ぶ通貨が変わってくるというイメージがなんとなくつかめてきたのではないでしょうか。
結論を言えば、為替手数料や情報収集の容易さからみて、オススメできる外貨は米ドルや豪ドル、スイスフランが挙げられます。
金利だけをチェックすると、ダントツで南アフリカランドに軍配が上がりますが、カントリーリスクや為替手数料を考慮すると決して賢い選択とは言えません。
銀行によって取り扱っている通貨の種類が異なるので、金利や手数料、リスクの高さなど総合的な観点からどの通貨を使うか判断してみてくださいね。
FXと外貨預金の比較
ここまで外貨預金についてお話ししてきましたが、中には「思っていたより手数料が高い」という部分が引っかかった人も多いのではないでしょうか。
為替差益によって得られるリターンは魅力的ですが、それよりも銀行に払う金額の方が大きくなっていたら元も子もありません。
こうした場合に検討すべき取引方法の一つとして、FXがあります。あまり知られていませんが、FXを用いて外貨預金の10分の一の手数料で取引を行える”裏技”があります。
FXの最大の魅力は「レバレッジ」を効かせて実際口座にある金額よりも大きなお金を動かせるところです。しかし、失敗するととてつもない損害が発生してしまうのも事実です。
こうした側面から、FXには「危ない」「怖い」といったイメージがつきまとっていますが、実際にはこのレバレッジ機能を利用せずにFX取引を行うこともできます。
どういうことかというと、取引を行う際にレバレッジレートを”1″に設定します。たったこれだけです。外貨預金を銀行で行うのと同じリスクで、さらに金利もFXを利用した方が圧倒的に高くなります。
また、使いやすさの点においても、FXの場合は平日であればほぼ24時間取引を行うことができるのも非常に便利です。この機会にFXの外貨取引を選択肢に入れてみるのもいいかもしれません。
まとめ – 外貨預金だけじゃないおすすめの運用方法 –
ここまで外貨預金やFXをメインに解説していきました。
しかし、実は筆者は外貨預金やFXを選びません。
なぜなら、株式市場に投資をした方が利回りが高いからです。
外貨預金はいわゆるゼロサムゲームです。市場全体が成長する訳ではないので、必ず勝者と敗者がいます。
その中で勝者の側に立ち続けるのは困難で、言ってしまえば不可能です。
一方、株式市場は国の経済成長に伴ってどんどん成長していきます。
特にこれから急成長するような新興国であれば、株式市場の参加者全員が大きな利益を上げられます。
外国に投資をするなら、とても高い利回りが期待できる新興国への株式投資が1番です。
ただし、もちろん実践するのは簡単ではありません。
自分で外国の情報収集をするところから始まり、どのタイミングでいくらの株式を購入するかなどは全て自分の判断で行わなくてはなりません。
経済情勢を把握して資産を増やしていくためのノウハウは、一昼夜で身に付くものではありませんから最初は何から手をつけたらいいのか不安になる人も多いことかと思います。
そこで、もしあなたがある程度まとまった金額の資産をできるだけ確実に運用したいと考えているのなら、筆者から特におすすめしたい資産運用の方法があります。
それはヘッジファンド会社を利用するということです。
ヘッジファンドは富裕層向けに資産運用を代理で行なうプロフェッショナル集団です。
ヘッジファンドで運用してもらえば、自分自身で情報収集や投資判断を行う必要がありません。
全てヘッジファンドにお任せして高品質な資産運用を行う事が出来るのです。
景気の動向に関係なくリターンが期待でき、大きな利回りも狙えます。
長年金融の現場で知識と経験を蓄えてきたプロに運用を任せることは、あなたの資産を守るだけでなく大きな時間と労力の節約にも繋がります。
最近では新興国に投資をしているヘッジファンドも出てきました。
外資系金融マンとして働いてきた筆者が、今最も注目している新興国向けヘッジファンドはこちらです。
フロンティアキャピタル(Frontier Capital)
フロンティアキャピタルは2018年に設立されたばかりの新進気鋭のヘッジファンドです。
日本で初めて、中東株を専門とした投資を行います。
BRICsや中国はこれまで注目されていましたが、経済成長が頭打ちとなっており下火となっています。
次に急成長の波がぐいぐい押し寄せているのは中東です。大きな利回りを狙うなら外貨預金ではなく中東の株式に投資しましょう。
日本ではまだあまり馴染みのないヘッジファンドですが、金融・資産運用の世界では古くからの歴史がある伝統的なサービスの一つです。
外貨預金はあくまでも数ある資産運用の手段の中の一つにすぎません。今の自分が資産運用で最も重視するのは何なのか、熟考した上で最善の最善の選択をしましょう。