50歳からの資産運用 IPO投資は本当に必勝法なのか?仕組みと裏付けから、リスクや実践方法を検証する

IPO投資は本当に必勝法なのか?仕組みと裏付けから、リスクや実践方法を検証する

IPO投資は投資の世界で"必勝法"だとまことしやかに囁かれています。確かにそんなものがあれば誰しもが気になるでしょうが、本当に誰でもできる必勝法など存在するのでしょうか。
ここではIPOの仕組みや、必勝法と言われる背景・裏付けについて考えていきたいと思います。

最終更新日:2023年01月10日

必勝法と噂のIPO投資

 

投資の世界には都市伝説ではないかと思われるような「必勝法」と呼ばれる運用方法がいくつか存在します。

そのうちの一つがIPO投資です。

今回はこの「必勝法」について考えていきたいのですが、まずはその代表格であるIPO投資とはどのような投資なのかを見ていきましょう。

 

IPOとはInitial Public Offering の頭文字で日本語でいうと新規公開株のことです。

IPO投資とは、新規に証券取引所に上場する株式を証券会社から手に入れ、それを上場後に売却することで利益を出すという投資の方法です。

 

2016年には92社が日本の証券市場で新規上場していますが、そのうち公開価格(投資家が新規株式を手に入れるために払った金額)が初値(公開初日に一番最初に取引された価格)を

・上回った銘柄が70銘柄
・下がった銘柄が21銘柄
・変わらなかった銘柄が1銘柄

です。

 

また、ここ10年の勝敗で見ても大きく勝ち越していることがわかります。

▶︎ 2016年:70勝21敗1分 (勝率:76%)
▶︎ 2015年:82勝8敗2分(勝率:89%)
▶︎ 2014年:65勝15敗3分(勝率:78%)
▶︎ 2013年:56勝3敗1分(勝率:93%)
▶︎ 2012年:39勝11敗0分(勝率:78%)
▶︎ 2011年:19勝14敗3分(勝率:52%)
▶︎ 2010年:10勝9敗3分(勝率:45%)
▶︎ 2009年:13勝4敗2分(勝率:68%)
▶︎ 2008年:20勝29敗3分(勝率:38%)
▶︎ 2007年:89勝29敗3分(勝率:73%)
▶︎ 2006年:159勝20敗9分(勝率:84%)

計(2006~2016年):622勝460敗30分(勝率:55.9%)

 

この事実だけを見ていると確かにすべての新規公開株を購入し、初値で売ればかなりの確率で資産を増やせるのではないかと言えます。

 

ただしこれはあくまで過去のデータによってそういう数字が出ているだけで新規上場する会社の株価が必ず上昇するという金融的な裏付けはありません

 

むしろ新規上場する会社は、基本的には新興の企業が多く指標的には割高である場合がほとんどです。

そのため、金融的な分析から言えば、IPO投資は「新規上場株は必ず上昇する」というアノマリー(根拠のない法則)に頼った、ハイリスク・ハイリターンな投資手法であると言えるでしょう。

 

ただし、近年では、サントリーや日本郵政といった実績ある大企業のIPOも存在します。また、当然ながら、新規上場する会社も玉石混交です。

IPO投資に確実な成果を求めるのであれば、株式の運用と同じく綿密な企業分析が必要となってきます。

 

 

IPO投資をするにはどうすれば良いのか

 

ある会社が、新たに証券取引所に上場するときは「主幹事証券会社」という証券会社を決めます。

その「主幹事証券会社」が、上場する会社に対して上場にあたるサポートを行い、株式公開の際には多くの株式を投資家に販売する権利を有します。

そして、その他の証券会社にも株式が割り当てられ、各々投資家を募集します。

 

この割り当てられた株式を投資家にどのように配分するかは、基本的には各証券会社に任されており完全抽選の会社もあれば、その証券会社に預けている資金が多い投資家に優先的に配分する証券会社も存在します。

SBI証券やマネックス証券など、いわゆる「ネット証券」などでは完全抽選になる場合がほとんどです。

 

また、IPOにあたっては、主幹事を務めた証券会社に圧倒的多数の株数が割り当てられるケースがほとんどです。

つまり、主幹事証券会社に口座を持っている投資家は必然的にIPOの当選確率が上がります

 

ここで2016年の主幹事証券会社ランキングを見てみましょう。

やはり日本の最大手証券会社である野村證券が1位にランクインしています。ネット証券系ではSBI証券が5位にランクインしています。

 

出展:IPO 2016年 主幹事証券会社ランキング | IPO新規公開株で儲ける方法
http://ipo-beginner.com/ipo-2016年-主幹事証券会社ランキング

 

野村証券は当然のことながら、機関投資家や富裕層の個人投資家も多いため、その中でIPOの抽選を引き当てるのは非常に難しくなります

つまり、「IPO投資したい!」と思ったからといって、誰でも簡単に始められるものではないということです。

 

 

IPO投資は本当におすすめなのか?

 

ここまでで見てきたように、IPOにおいても新規に上場する会社がどのような会社であるかの分析は欠かすことができません

また、いい企業だと判断でき「投資したい!」と思ったとしても、そのIPOの割り当てで当選できるとは限りません。

 

当サイトで紹介しているヘッジファンドの中には、機関投資家である強みを生かして、IPOにも着目した投資手法を行っているファンドも存在しています。

ネットや金融雑誌で言われているIPO投資必勝法を鵜呑みにするのでなく、IPOも選択肢の一つに入れているプロの投資家の話を聞いてみるのも一つの方法なのではないかと思います。

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