50歳からの資産運用 高配当は株価が下がる?人気銘柄の値動きの仕組みを徹底解説

高配当は株価が下がる?人気銘柄の値動きの仕組みを徹底解説

高配当の銘柄は人気ですが、実は株価が下がりやすいという特徴があることを理解している人はどれだけいるでしょう。
目先の配当ばかりに気を取られていると、思わぬところで痛い目を見ることになります。
そもそも株価がどのようにして決まるのかということと合わせて、配当に隠されたカラクリについて考えてみたいと思います。

最終更新日:2019年08月22日

株式投資をする上で、銘柄を選ぶにはどんな基準があるのでしょうか。

人気の銘柄、有名企業、割安株など色々ありますが、多くの人が気にしているポイントの1つに「配当」があります。

 

配当の割合が高い「高配当」の銘柄は人気ですが、何も考えないで買って(保有して)、思ってもいない値動きに困惑してしまう人も少なくありません。

結論から言ってしまえば、高配当の銘柄は一般に株価が下がるものなのです。

この理屈をきちんと理解しておかないと、思わぬところで痛い目を見ることになります。まずは、株価がどんなものなのかについて考えていきます。

 

 

株価とは企業の評価

 

株価(≒時価総額)は、企業の価値によって決定されます。

企業の価値とは、その会社の持っている「資産(現金や不動産など)」と「事業の価値(収益)」を合わせたものです。

もちろんB/S(貸借対照表)にある資産と、P/L(損益計算書)にある純利益を足せばよいという単純なものではありませんが、基本的あ考え方として

企業価値=資産価値+事業価値 と捉えて良いでしょう。

 

例えば、PER(株価収益率)は、1株あたりの当期純利益ですし、PBR(株価純資産倍率)は、1株あたりの純資産のことを示しています。

このことからも、投資家が、基本的にその会社の価値を「収益」や「資産」を元に算出していることがわかります。

 

ちなみに株価の上下は、この「資産」や「収益」を元にした会社の価値の変化によって引き起こされます。その会社が持っている資産の価値が何かの拍子に上がったり下がったりすることは珍しくありません。

例えば不動産が良い例です。全くモノが変わらなくても周りの環境によって価値が変化するものは少なくありません。

 

また、その会社が「発表している価値」(いわゆる簿価)が必ずしも正しいとも限りません。

同じものを見ても、「そんなに大した価値はない」と考える人もいれば「もっと大きな価値を含んでいる」と考える人もいるでしょう。

例えば、貸付金などは、人によって「当然返ってくる」と思うか、「返ってこないかもしれない」と思うかで評価が別れる典型的なものです。

 

もちろん「事業の価値(収益)」についても、同様に評価は人によって分かれます。

会社は業績予想を発表しますが、評価は人によって分かれます。また、新技術の開発や、社会の発展など、環境の変化によって業績が大きく変わることもしばしばです。

 

これらの評価のブレ(人による違い)によって、儲かる人と損をする人が出てきます。

より高い価値を含んでいるものをいち早く見抜き、周りが評価する(株価が上がる)前から株を買っておけば、周り(市場)がそこに追いついたときに利益を得ることができます。

反対に、大した価値もないのに雰囲気に流されて株を買ってしまうと、その会社のボロが露見したときに株価が下がり損をすることになります。

 

このように株価を予測するべく、企業を正確に評価しようとすることを「ファンダメンタルズ分析」と言います。

 

それとは別に日々の細かな値動きに合わせて株価の値動きを予測することを「テクニカル分析」と言います。

こちらは、株価(企業価値)の評価ではなく、そこに参加している人たちの「心理」を分析するのです。例えば、

「昨日大きく株価が上がった、利益を確定させたい心理が働いて、売りが入る=今日は少し下がりそう」といった具合です。

 

こちらは毎日の細かい売買が必要になり、いわゆるデイトレーダーのように市場に張り付いている投資家が多く選択している方法です。

 

どちらが優れている、正しい/間違っているということもありませんが、適正な株価を判断するには、その会社の価値をきちんと評価・分析することが不可欠です。

特に、長期保有をするような場合には「ファンダメンタルズ分析」は不可欠です。

 

 

配当とは資産を株主に還元すること

 

ここで話を戻して「配当」について考えてみましょう。

配当は、持っている株式に応じて、会社が株主に配当金を支払うことをさします。

配当のタイミングは、企業によってまちまちですが、中間決算時と本決算時の年2回であることが一般的です(これ以外にも、様々なタイミングで特別配当などが発生することもあります)。

 

例えば、1株あたり10円の配当を出す会社の場合、その会社の株を1,000株保有していれば、1万円を受け取ることができます。

その会社の株価が500円の場合、500円×1,000株 = 50万円分株を持っていれば、1万円もらえる計算になるため、この場合の配当性向は2%(1万円÷50万円 or 10円÷500円)となるのです。

 

この配当の割合(配当性向)が高いと、持っている株数に応じてよりたくさんの配当が還元されるため、配当性向の高い銘柄は投資家から人気を集めます。

日本株の配当性向は一般に1.5~2.0%前後なので、仮に配当性向が5%のものがあればそれはかなりの高配当ということになります。

「100万円分株を持っていれば、5万円還元される」と言われると嬉しくなる気持ちもわかります。

 

 

配当を出す=資産が減る?

 

では、この配当はどこから出るのでしょう?

もちろん企業のお財布=資産(特に現金)から捻出されます。

 

つまり、企業が配当を出すということは、その分、資産を減らしているということなのです。

先述の通り、株価とは企業の価値が反映されているものなので、配当を出してその分資産を減らせば、相応に株価は下がるのが道理です。

つまり、配当が出るとその分株価が下がるはずなので、実は投資家からすると大きな利益にはなっていないはずなのです。

 

 

配当の意味について考える

 

では、配当にはまったく意味はないのでしょうか?

目先の利益で投資家を集めるためのアピールなのでしょうか?

 

そんなことはありません。配当には相応の意義があります。

 

企業が事業によって得た収益を現金としていくら貯め込んでいてもなんの価値もありません。お金は使わなければ紙切れと変わりません。

研究開発や事業の拡大などに投資していく計画があるのであれば別ですが、意味もなく貯め込んでいるのであれば、株主に事業の収益を還元するのは重要なことです。

会社は、経営者や従業員でなく、株主のものなのです。

 

また、やはり市場心理として、配当の高い銘柄には投資家が集中する傾向があるため、株価を向上させる効果も期待できます。

 

配当には、良し悪しがあります。

目先の利益だけに振り回されることなく、株価の持つ意味や、配当の効果まできちんと考えて銘柄を選ぶことが重要です。