コロナショックの影響
新型コロナウイルスの影響で、経済が停滞し、株価が大きく値を下げています。
2020年2月には23,000円台後半だった日経平均株価は、1ヶ月も立たないうちに16,500円台にまで値を下げ、その下げ幅は30%近くにまでなりました。
その後、株価が底を叩いたことによる反発や、自粛の中での緩やかな経済活動、日銀による資本投下(買い支え)などの影響もあり、じわじわと株価を戻してはいますが、2020年5月時点で20,000円前後と、新型コロナウイルスによる影響が表れる前にはまだほど遠いものがあります。
参考:日経平均 – Google 検索
経済全体の停滞の中で、多くの個別銘柄も暴落しましたが、一方で、この逆境をチャンスに変え、大きく株価が上げた企業もあります。
今回は、コロナによって明暗が別れた「コロナで株価が下がった企業」と「コロナでも株価が上がった企業」を考えて、株式投資の本質である、儲かる企業の見極めについて考えていきたいと思います。
コロナで下がった株
コロナでも株価が上がった企業が気になる人もいるでしょうが、まずは大多数である「コロナの影響で株価が下がった企業」を見ていきましょう。
数多くの企業が苦しい経営を強いられていますが、ここでは日経225にも選出されるような大企業を中心に見ていきたいと思います。
まずは、日本を代表する製造業である、トヨタ自動車とSONYです。
やはり、製造業は工場などの稼働が止まってしまった影響もあり、大きく値崩れしてしまっています。
コロナによって特別需要が増えるといったこともないため、日経平均の動きと似ており、ある種「一般的」な株価変動と言えます。
トヨタ自動車株式会社(7203)
ソニー株式会社(6758)
次に、小売業を見てみましょう。
ユニクロでおなじみのファーストリテイリングや、セブン&アイ・ホールディングスは、コロナ自粛の影響で、人が出歩かなくなった影響もあってか、株価が下がっています。
ファーストリテイリングの方の株価が5月頃から少し上がっているのは、季節の変わり目に伴って、夏物の需要が高まり、またGW明けからの自粛緩和ムードも相まって、売上が伸びているからでしょうか。
株式会社ファーストリテイリング(9983)
株式会社セブン&アイ・ホールディングス(3382)
コロナの影響が大きかったものの一つに「石油」があります。日本で石油に関する企業といえば、国際石油開発帝石(INPEX)です。
こちらは、コロナによって大きく値崩れした後、いまだに平均ほどの回復もできていません。
国際石油開発帝石株式会社(1695)
このように、製造業・小売業・石油関連企業など、多くの分野で株価が下がっていることがわかります。
コロナでも上がった株
一方で、コロナ影響下にあっても株価が下がらず、むしろ大きく上がっている企業も存在します。
その中でも代表的なのが、運輸業である「ヤマトホールディングス(ヤマト運輸)」と「SGホールディングス(佐川急便)」です。
コロナウイルスの影響で外出を控えるようになった結果、Amazonなどのネットショップ利用が増え、それに伴って物流を支える企業の株価が大きく上がっています。
特に、佐川急便を傘下に持つSGホールディングスの株価の伸びは凄まじく、コロナショック以前を大きく上回り、3月中旬の底値と比較して、1.5倍近くにまでなっています。
ヤマトホールディングス株式会社(9064)
SGホールディングス株式会社(9143)
また「おうち時間」というキーワードと共に、家で過ごすことが推奨された結果、家庭用ゲームを展開している任天堂の株価も大きく値を上げています。特に、2020年3月20日にリリースした『あつまれ どうぶつの森』は、わずか1.5ヶ月ほどで1,000万以上も発売され、大ヒットとなりました。
この影響もあってか、任天堂の株価も、コロナショック以前を大きく上回る水準にまで回復しています。
任天堂株式会社(7974)
また、多くの外食産業が苦境に立たされる中で、注目すべき企業にマクドナルドがあります。
新型コロナウイルスの影響により、外食産業の多くは自粛を余儀なくされ、また外食を積極的にする人も大幅に減少し、業績は悪化しています。
実際に多くの企業が、株価を大きく下げているにもかかわらず、マクドナルドは「一人勝ち」と言って良いほどに好調に業績を伸ばしています。
もちろん、マクドナルドも「コロナ自粛」に漏れず、全国の全2,906店舗で店内の客席利用を禁止し、客足は20%近くも減っているようですが、一方で、テイクアウトによる利用が増大し、客単価が30%以上も伸びたようです。
もちろん、マクドナルド以外の多くの飲食産業がテイクアウトに力を入れることで、コロナ自粛下においても、なんとか業績を保とうと努力はしているようですが、ここまで着実に成果を上げている企業は他に見られません。
その背景には、アプリからの「モバイルオーダー」という利便性の向上など、様々なサービス展開による差別化・価値の向上が図られており、世界的ファストフードの「本気」に再び注目が集まっています。
株価も、コロナショック以前を上回る水準にまで回復しています。
日本マクドナルドホールディングス株式会社(2702)
優れた企業の見極め方
今回見てきたように、コロナの影響下においても、それぞれの企業の業績・株価には大きな差があることがわかりました。
製造業や小売業のように、直接的で他の業界のように特別な要素は少なく、経済全体の平均と同じような影響を受けている産業もあれば、石油業界のように、平均以上のダメージを受けているところもあります。
経済全体が停滞しても、「おうち時間」のような特需を利用して、逆に業績を伸ばしている、ゲーム業界や物流業界もあります。
また、同じ業界でも、飲食業界におけるマクドナルドのように、適切なサービスを展開することでピンチをチャンスに変えた企業もあります。
優れた投資先(銘柄)を見つけるには、「時流(経済情勢)を見ながら、好調な業界を見極める」ことが求められるでしょう。また「優れた企業努力ができる、真に実力のある企業」を見極めるのもよいかもしれません。
そして、これらの企業は既に顕在化していますが、今後大きく注目される企業に「コロナの影響によって一時的に株価が下がり割安になっている企業」があります。
企業の内部に問題がなく、外部の影響で一時的に割安になっている株は、今後の経済の回復に伴い、一気に株価も回復させて大きな利益に繋がる可能性が期待できます。
このように、優良な投資先を見極めるには、外部情勢(経済)・内部事情(組織)・株価(財務)と、様々な角度から常に分析し、評価する必要があります。