50歳からの資産運用 NISA NISAをするなら絶対に儲けなければいけない!?おトクな制度に隠されたリスクを完全解説

NISAをするなら絶対に儲けなければいけない!?おトクな制度に隠されたリスクを完全解説

投資に関する税金が免除されるという"お得"な点が人気のNISA制度ですが、実は制度を活用するからには必ず投資で利益を上げなければいけないというリスクも併せ持っています。
NISAを使うと損をするのはどんなときなのでしょうか?わかりやすく解説していきたいと思います。

NISA
資産運用
最終更新日:2023年01月10日

 

NISA(少額投資非課税制度)を活用すると、投資の利益についての課税(20.315%)が免除されます。

NISAの話になると、このメリットばかりに注目が集まりますが、実はNISAにはそれ相応のリスクもあることをご存知でしょうか?

 

「NISAを使うことで儲けることができる」「儲けの幅が広がる」と思っている人は注意が必要です。

ここではNISAの仕組みのメリットだけでなく、デメリット(リスク)についても合わせて解説していきたいと思います。

 

 

NISAとは?

 

NISA(ニーサ)とは、少額投資非課税制度の通称であり、イギリスのISA(Individual Savings Account)を参考に、日本(Nippon)のNを頭につけて命名されました。

 

2014年に施行され、NISAの範囲(非課税投資枠)内であれば、株や投資信託など、投資で得た収益への課税(通常20.315%)が免除されるというものです。

 

つまり、100万円を投資して、120万円(+20万円)にした場合、

通常 20万 ×20.135% =40,270円を納税しなければならず、手元には約16万円しか残りませんが、これがNISAの範囲内であれば、20万円を丸々自分の儲けとして受け取ることができます。

 

2014年の制度施行時には、限度額が年100万円でしたが、2016年に120万円まで拡張されました。

 

NISAは最長で5年活用することができるため、フルで活用すれば 120万円/年 ×5年 =600万円まで非課税で投資することができます。

制度の継続期間は2023年となっているため、2019年までにスタートすれば限度額いっぱいまで活用することができるのです。

 

NISA口座を持つことができるのは、日本在住の20歳以上の人が対象で、一人一口座まで(複数の証券会社に持つことはできない)という制限がありますが、投資でガンガン利益を生んでいる人は活用して損はないでしょう。

 

ちなみに、NISAは2016年に限度額が100万円から120万円に拡張されただけでなく、19歳以下を対象とした「ジュニアNISA」が同2016年に施行されています。

また、2018年1月からは新たに「つみたてNSIA」という新制度もスタートする予定です。

 

このようにNISAに関連する制度は拡大の基調があり、現在(2017年12月時点)2023年までとされている継続期間も、「延長されるのでは?」という見立てが強いようです。

このことからも、NISAが広く普及し、また人気のある制度であることが伺えるかと思います。

 

 

NISAを使うと損をする!?意外と知られていないデメリットとは

 

「非課税」という大きなメリットに注目が集まり、人気のNISAですが、実はそれ相応のデメリットも存在します。

 

その中でも代表的なもののが「損益通算」も「損失繰越」もできないということでしょう。

これら2つがどのようにデメリットとなるのかを解説していきたいと思います。

 

 

デメリット1. 損益通算ができない

投資(資産運用)の世界では、損益通算が節税のポイントになります。

損益通算とは、複数の投資先への利益や損失を合算することで、「トータルでの収益」に対する課税を行う考え方です。

 

例えば、

・投資先A:100万円 →130万円(+30万円)
・投資先B:100万円 →80万円(-20万円)

という2つの運用をしていた場合ですが、A,Bそれぞれに対しての課税ではなく、トータルの利益10万円に対して課税されます。

納税額は (30万円−20万円) ×20.315% = 20,315円です。

 

つまり、約8万円が手元に残る計算です。

 

ですが、仮に投資先BをNISAで運用していた場合、この損益通算ができません。

したがって、課税対象は30万円になり、納税額は約6万円になります。

 

つまり、+30万円(投資先A)−20万円(投資先B, NISA)−6万円(課税) = 4万円しか手元に残らないのです。

損益通算ができないことで、NISAの範囲内で損失を出すと、トータルで損をすることがわかります。

 

 

デメリット2. 損失繰越ができない

また、似たようなケースですがNISAを活用すると損失繰越ができません。

損益通算が「横」の集計なら、損失繰越は「縦」の集計ですね。

 

複数年に渡って運用をしていて、以下のような例を考えてみましょう。

・1年目:100万円 →80万円(-20万円)
・2年目:80万円 →70万円(-10万円)
・3年目:70万円 →120万円(+50万円)

の場合、3年目だけを見ると50万円の利益が出ていますが、その前に通算で30万円の損失があります。

つまり、トータルで20万円しか利益を得ていないので、この場合の課税額は+20万円に対する約4万円のみです。

 

ただし、NISAを活用していた場合にはこの損失繰越ができなくなります。

1,2年目は利益が出ていないので非課税なのは同じですが、3年目は利益50万円に対して約10万円もの納税をしなければなりません。

 

つまり、長期に渡ってじっくりと(短期的にはマイナスになる年があるような)運用をするのには向いていないということです。

 

 

まとめ – NISAをするなら確実な利益を出さなければいけない –

 

NISAは、制限こそありますが、投資で利益が出ている限りは課税が免除されるというとてもおトクな制度です。

ただし、損失が出るとNISAを活用しないときよりも多くの税金を支払わなければならないケースがあります。

 

NISAを活用する際には、基本的に常に利益を出し続けなければ、メリットを享受できません。

つまり、初心者向けの制度でありながら、そもそもの運用が上手くいかなければおトクにはならないという矛盾をはらんでいるということになります。

 

ちなみに、NISAを使うと儲けのある人は、その儲けを大きくすることができますが、そもそも投資で成果をあげられない人が儲けを得られるというものではありません。

 

巷では「NISAで儲かる!」などと聞こえのいいうたい文句を耳にすることもありますが、甘い言葉に惑わされないよう、しっかりとその本質を見極めるようにしましょう。

 

NISA以外にも「耳寄りに見えるけれど、実は注意が必要だ」という情報は少なくありません。断片的な情報に惑わされずに、しっかりと様々な制度やルールを把握するようにしましょう。

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