政府が掲げる「貯蓄から投資へ」は浸透したのか
近年、政府は「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、貯金ではなく投資等の資産運用の必要性を呼び掛けています。
政府の思惑としては「貯蓄から投資へ」の流れが促進されることで、家計から企業への資金供給が拡大し、起業や新産業の育成なども含めて日本経済の成長につながるという思惑があるとされています。
この呼びかけの効果がどれほどあったでしょうか?
金融広報中央委員会が発表した2016年版「家計の金融行動に関する世論調査」(2人以上世帯)によると、
金融資産の平均保有額は1,078万円で昨年の1,209 万円から131万円減少した一方、中央値は400 万円と昨年と同じでした。
金融商品別の構成比では、預貯金(郵便貯金を含む)は 55.3%と前回の53.2%から2.1%ポイント上昇しましたが、有価証券(債券・株式・投資信託)は16.1%と前回の17.7%から1.6%ポイント低下しました。
また、生命保険は17.6%となり、前回の16.9%から0.7%ポイント上昇しました。
これらのデータと、米国の家計の預貯金比率が13.6%であるという事実を合わせてみても、まだまだ日本では「貯蓄から投資へ」のスローガンは浸透していないと言えるでしょう。
▶︎ 参考:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2016/pdf/yoronf16.pdf
なぜ資産運用は必要なのか
では、日本人にとって資産運用は必要ないものなのでしょうか?
結論から述べると、今後、資産運用の必要性はますます高まってきます。
その一番大きな要因として挙げられるのが、政府と日銀が掲げる消費者物価指数を2%上昇させる「インフレ目標2%」です。
現状の銀行にお金を預けておく定期預金の利回りでは物価上昇のペースについていけません。
物価が上がった際に、資産が物価上昇率以上に増えていないと、ものを買う時の負担が大きくなります。
参考:俺たち株の初心者
http://orekabu.jp/asset-management/
今の物価を”100″とした場合、年に2%のインフレ目標が実現されたとして5年後には約”108″となります。
それに対して、メガバンクに300万円以上定期預金した時の金利0.04%で計算していると、5年後でも101.595までしか増えていません。
これが物価上昇のペースについていけないということの意味です。
お金の価値が相対的に下がってしまうことで、今買える商品が5年後には買えなくなってしまうのです。
こういった現状を踏まえ、資産運用の必要性は今後ますます高まることが予想されます。
なぜ日本の投資人口は増えていかないのか?
日本の投資人口が増えないのは、こういった要因を知らなかったり、それでもなお必要性を感じていないからなのでしょうか?
先述のデータによると、「今後の金融商品の保有希望 」という質問に対する結果では、「預貯金」を選んだ割合が2012年の53.3%から2016年では47.2%に減少している一方で、「株式」と答えた割合が6.0%から8.0%へ、また「投資信託」については1.9%から4.1%へ急上昇しています。
このように少しずつではありますが投資への関心は高まっているようです。
必要性を感じないのではなく、自前で資産を作りたくても投資について理解するのが難しくて面倒だったり、納得してお金をつぎ込める対象が見つからない、ハードルが高いなどの理由で、資産運用に“踏み出せない”人が多いのではないでしょうか。
資産運用の受け皿として2014年に始まったNISA(少額投資非課税制度)は、翌年6月末時点で口座数が約921万件にまで達している一方で、実際に投資があったのはその半分程度だったそうです。
DC(確定拠出年金制度)では特に個人型の利用度が低く、その時点で利用可能な約4,000万人のうち加入したのは約23万人に留まります。
このように政府の政策としての狙いや運用業界のトレンドとでは、個人の事情やニーズに”ズレ”がまだまだあるようです。
資産運用はハードルが高い?
では本当に資産運用は国民の多くが感じるように、ハードルが高いものなのでしょうか?
これは、結論を言うと、「やりかた次第」ということになると管理人は考えています。
そもそもなのですが、資産運用の手法には、たくさんの種類があります。
メジャーなものだけでも、株式投資、不動産投資、個人向け国債、投資信託など複数が挙げられますが、それら全てを資産運用として一括りにして考察するのは、無理があるのです。
例えば、「株式投資」について考えてみましょう。
資産運用と聞いて一番最初にイメージされるものかもしれませんが、この株式投資というのは非常に奥が深く、確実に儲けようと思うとハードルの高い手法です。
高い専門性や知識、また投資にかける時間なども必要になってきます。
自らのセンスで株式の善し悪しを見抜き、株式への投資のみで継続的に利益をあげるためには、運用商品に対する正しい知識と深い洞察力が必要なのです。
知識やノウハウがなく、かつ、会社勤めをしているような方が、四季報や日々目まぐるしく変わるチャートを見つめながら運用していくことは、ほとんど不可能と言わざるをえません。
仮にそれで上がったり下がったりということが一時的に起こったとしても、それらは全て「運」の世界です。
ただ、株式投資とは反対に、資産運用においても、知識やノウハウという側面で比較的ハードルが低いものも存在します。
それらの一例として挙げられるのが、投資信託や個人向けの私募ファンド(ヘッジファンド)です。
投資信託であれ、私募ファンドであれ、運用を自分で行うのではなく誰かに任せてしまうという方法であれば、知識や時間があまりない方も、比較的簡単に始めることができるのです。
無理なくできる優れた運用方法とは
投資のプロに資産の運用を委託してしまう方法としてメジャーな投資信託と、私募ファンド(ヘッジファンド)。
どちらがより優れているのか比較した場合、投資信託はオススメできません。
投資信託の抱える問題点については、以下の記事でも詳しく解説しているので興味のある方は是非ご一読ください。
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ヘッジファンドと呼ばれるような私募ファンドの多くは、運用成績に応じて会社の収益が決定し、結果が第一になります。
一方で、投資信託は、顧客からもらう運用手数料のみでも会社が利益を上げていくことができるため、その本質は大きく異なるのです。
実際、利回りを追求しないといけないヘッジファンドと、どのような利回りでも運用者側の利益が変わらない投資信託とでは、両者を比較した際の利率(収益性)に大きな開きがあります。
運用手法(理論)や実績で勝るヘッジファンドですが、優れた私募のファンドには相応の難点があります。
ヘッジファンドは一般に「私募」のため、広告などを出しておらず発見が難しいことや、限られた投資家のみを相手にしているため、最低出資金額が1,000万円以上等、スタートのハードルが高いことです。
手元にある程度の資金がある方で、自分自身の時間を使わずにプロに運用を任せたいという人は、会社HPなどから問い合わせて、ファンドの担当者から直接詳細を聞いてみるのが良いでしょう。
あまり情報開示をしていないファンドも少なくありませんが、「私募」であり公には情報発信をしていないだけで、直接問い合わせた場合には具体的な話を聞くことができるはずです。
ヘッジファンドについては以下の記事でも詳しく解説しているので、興味のある人は是非ご一読ください。
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興味のある人は、是非問い合わせていただき、「どんな人間」が「どのような運用」を行なっているのか、そして「どのような運用成績(実績)」を残しているのかを、是非ご自身の目で確認してみてください。