話題のフィンテックってなに?
「彼はフィンテック領域で起業したらしい」
「これからの銀行のあり方を考える上でフィンテックの議論は避けて通れない」
こんな話を、耳にしたことはないでしょうか?
肌感覚としては、ここ数年で「フィンテック」という言葉を日常的に耳にする機会が、とても増えたように感じます。
「フィンテック(Fin-Tech)」というのは、「Finance(金融)」 と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語で、金融業界に新たな技術を持ち出すことによって生み出された金融関連のサービスを指します。
具体的なサービスとしては、資産運用の適切なポートフォリオをAIを用いて個人に提供する「ロボ・アドバイザー」系のサービスや、携帯を用いた簡易な決済サービスを提供する「モバイル決済」の他、「クラウド会計」、「オンライン家計簿」などが挙げられます。
なぜフィンテックに注目が集まるのか
さて、フィンテックが世界的に注目されている背景には、いくつかの理由があります。
その大きなものの一つが金融機関というもののイメージの低下でしょう。
少し前になりますが2013年におけるアメリカの「嫌いな米国企業トップ10」という調査において、なんと10位以内に金融機関が7社もランクインしました。
1位:アメリカン・インターナショナル・グループ(保険)
2位:ゴールドマン・サックス(銀行)
5位:バンク・オブ・アメリカ(銀行)
6位:シティ・グループ
8位:JPモルガン(銀行)
9位:ウェルズファーゴ(銀行)
一方、「好きな米国企業トップ10」という調査においては、テクノロジー企業が上位を占めています。
1位:アマゾン(EC)
2位:アップル(デジタル機器)
4位:グーグル(検索・広告)
少なくとも、世界をリードしていくアメリカという国においては、「金融」というのもは消費者から嫌われ、不信感を抱く対象になっているのです。一方のテクノロジー企業は、大衆の心をガッチリと掴んでいます。
年代別に見てみると、この「金融関連の企業は嫌いで、テクノロジー企業好き」という傾向が特に顕著になるのは、1980年~2000年の間に生まれた、ミレニアム世代と呼ばれる世代となっているようです。
彼らは物心ついた時からインターネットやデジタル機器に囲まれてきた「デジタルネイティブ世代」であり、まさにこれからの10年20年で最も消費活動が大きくなっていく、経済的インパクトが大きな世代です。
彼らに対する意識調査は、銀行関係者にとっては目を覆いたくなるであろう結果を示しました。米国におけるミレニアム世代の、銀行に対するアンケート結果が以下の通りです。
「自分の利用する銀行と他の銀行のサービスに違いはない」(53%)
「いずれ銀行はまったく必要がなくなる」(33%)
「自分の金融資産にアクセス する方法は5年以内に今とは大きく異なったものになる」(68%)
「テクノロジー・企業が、銀行のやり方を抜本的に見直してくれることを期待している」(50%)
「銀行よりも、グーグル・アマゾン・アップルが提供するサービスの方がワクワクする」(73%)
「銀行の話を聞くくらいなら、歯医者にでも行く方がマシだ」(71%)
世界金融危機などの影響もあると言われていますが、少なくとも若年層は、フィンテック領域におけるスタートアップ企業が、従来の金融業界に風穴をあけてくれることを大きく期待しているのです。
これからの金融業界はどう変わっていくのか
若者世代の注目を集めていることに加えて、金融業界の重鎮達ですら、いずれ技術によって金融業界のあり方が大きく変わるであろうことを公言しています。
「グーグル、フェイスブックが今後の我々の競争相手になる」
これはJPモルガンの前CEOであるジェイミー・ダイモン氏の発言であり、株主に宛てた手紙の中で彼は、シリコンバレーに拠点を置く企業が金融業界にとって大きな脅威になりつつあると名言しました。
口座の開設、預金・送金等の手続き、資産運用における相談。
現在我々が銀行の窓口に足を運んで行っているこれらの活動は、テクノロジー企業の台頭により近い将来全く違う形となるかもしれません。
銀行の「支店」というもの自体がなくなる可能性は高く、加えて銀行という存在そのものの存続も危ぶまれる事態に陥る可能性も否定できません。
管理人は外資系の金融の出身ではあるのですが、現在は資産運用におけるアドバイザー業務を個人で行っています。
変わりつつある金融の世界に注目しながら、共にこの時代における最適な運用方法を学んでいきましょう。