50歳からの資産運用 資産運用 【太陽光発電】業界に詳しい人は知っている|太陽光発電に潜む2つの重大なリスクとは

【太陽光発電】業界に詳しい人は知っている|太陽光発電に潜む2つの重大なリスクとは

太陽光発電への投資は、実際儲かるのでしょうか?管理人は、知人に太陽光発電投資を商品として販売する側の人がいて、その人への話を根拠に太陽光を良い投資商品と考えていません。今日はその理由を説明したいと思います。

資産運用
最終更新日:2023年01月10日

資産を運用したいと思った時に、株や投資信託、不動産といった「金融商品」への投資に加えて、「太陽光発電」などへの「設備投資」を検討する人も少なくないと思います。

 

「太陽光発電投資は、実際どの程度お得なの(儲かるの)か?」

というのは誰しもが気になるところでしょうが、太陽光発電の設備を販売している方々の話を聞いていると、実はそこまで魅力的な投資商品ではないように思えます。

 

ここでは、太陽光発電への投資が実際どの程度の価値があるのか、順を追って分析・解説していきたいと思います。

 

 

太陽光発電への投資で考えるべきリスク

 

太陽光発電への投資とは、太陽光発電の設備を購入 or 借りて、発生した電力を電力会社に販売することで利益を上げていく投資の方法です。

 

あらゆる投資活動(利益を得るために資金を投じること)には、それ相応のリスクがありますが、太陽光発電投資の場合は、ザっと以下のようなリスクが挙げられるかと思います。

・日射時間の変動リスク
・積雪のリスク
・台風等、突風によるパネルの損傷リスク
・大雨によるパネルの故障リスク
・火災によるパネルの故障リスク
・落雷によるパネルの故障リスク
・飛来物や倒木によるパネルの故障リスク
・雑草刈り等、諸メンテナンスに伴う費用のリスク
・停電による発電ロスのリスク
・パネルの老朽化に伴う発電ロスのリスク
・買電価格の変動リスク
・固定買取期間後の買電価格のリスク
・電力会社の支払いに関する与信のリスク
・パネル設置メーカーの契約履行リスク
・補助金等、国からの支援の変更リスク
・管理業者、メンテナンス業者等々に関するリスク
・電力過多状態に陥った場合の出力抑制のリスク
etc…

 

ザッと挙げただけで、実に20近いリスクが出てきましたが、これで全てというわけではありません。

太陽光発電への投資は、実用化してからまだ日が浅く、リスクが不透明なほか、制度面も不安定で、まだまだ発展途上の段階にあるのです。

 

 

太陽光発電に投資している人の、開始数年における実質利回り

 

さて、このように太陽光発電への投資には様々なリスクが存在していますが、これらのリスクがあるから一概にダメだというわけではありません。

ここで挙げたリスクの大部分は、費用を支払うことで対処することが出来ます。

 

災害にまつわるリスクであれば、大抵は保険に加入することでヘッジできますし、その他の様々なリスクにおいても適切な会社(サービス)に費用をかけることで対応可能です。

 

ただし、費用をかけるということは、その分だけ実質的な利回りが低下するということです。

 

一方、太陽光発電投資に関する販売員(営業員)は「表面利回り」を算出します。

太陽光発電への投資において、一般的な表面利回りは8~12%程度と算出されることが多く、「なかなか利回りの良い投資なのでは」と思う方も少なくないでしょう。

 

例えば平均で年10%回収できるとすると、投資期間を買電の固定買取期間である20年間として、「最初の10年で初期費用を回収して、そこから10年は収益になる」という試算が立つように思えてきます。

 

しかし、この表面利回りとは、追加で発生する諸費用を全て無視した場合に、「この程度の利回りが出ます」というベストケースを皮算用したものです。

 

そもそも、「10年で回収し残り10年が収益」となった場合の利回りは「20年で200%の成長(2倍)」に過ぎず、複利に換算すると年利3.5%程度です。

さらに、実際にはここから表面利回りに組み込んでいない様々な出費が発生しますので、太陽光発電への投資における「表面利回り10%」というのは、全くおいしい話ではないことがわかります。。

 

 

実際に、太陽光発電に投資した人のブログ(以下リンク先)によると、この方の場合は、実質的な利回りは年1.6%程度のようです。

この記事の中でも「銀行に預けるよりは」とありますが、太陽光発電への投資では、この程度の利回りしか得られないというのが一般的なのではないかな、と思います。

▶︎ 参考:太陽光発電を1年運用してみて、10の思ったこと、考えたこと。 – 海外投資と太陽光と仮想通貨でセミリタイア http://harionikki.hatenablog.com/entry/2016/01/02/000000

 

 

太陽光発電への投資に関する2つの重大なリスク

 

さて、このように、せいぜい1~2%程度の利回りしか実現しない太陽光発電ですが、それでも日本国債や定期預金で運用するのと比較すると、十分な利回りであり、検討に値すると考える人もいるかもしれません。

 

しかし、太陽光発電の投資案件を販売(営業)する人の多くは、自分自身が投資をしているわけではありません。

そこには2つ重大なリスクが隠れているためです。

その2つのリスク「実績の短さ(歴史の浅さ)」と「国の支援(補助)の継続性」について、以下にに順を追って解説していきたいと思います。

 

 

重大リスク① 実績の短さ(歴史の浅さ)

太陽光発電への投資が本格化したのは、「固定価格買い取り制度」がスタートした2012年です。

 

つまり、太陽光発電への投資に関しては、まだ5年しか歴史がなく、10年も20年も投資をした実績のある人はまだいません。

先ほど紹介した太陽光発電投資のブログを書いている方も、1年運用してみての評価しかできておらず、今後どのように利回りが変化していくのかを予測するのは非常に困難です。

 

例えば、設備の老朽化一つとっても、、それに伴う維持コストの変化や、そもそも同じ家庭用ソーラーパネルが20年もの耐久性を備えているかなど、まだまだ顕在化していない(想定できていない)リスクが数多く眠っている可能性があります。

 

太陽光のパネル内の構造は非常にデリケートで、「老朽化していくことに関するリスクは多くの人が考えているよりもはるかに高いのでは」と懸念する人もいます。

 

太陽光発電に限らず、一つの機械が大きなトラブルなく20年間動き続けるというのは稀なことであり、どこかで大規模なメンテナンスが必要になります。

それが、どの程度の期間で、どの程度の費用となるのか。想定できないリスクが内在しています。

 

 

重大リスク② 国の支援(補助)の継続性

太陽光発電への投資を考えている人の多くは、国が太陽光発電の導入に対して非常に積極的(協力的)であり、今後も継続的に国からの補助が期待できると”想定”しています。

 

この、日本全体が太陽光発電の導入に対して「どの程度積極的か」「緊急性を持って取り組んでいるのか」という点は、買電価格等にも影響が出てくる非常に重要な視点です。

 

この点において非常に重要な情報を提供しているのが、経済産業省資源エネルギー庁の出している、こちらの太陽光導入状況に関するデータです。

▶︎参考:なっとく!再生可能エネルギー 各種データの公開 http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/statistics/index.html

 

こらのデータを読み解いていくと、2016年末時点における太陽光の導入量は3,200万kW。これは、国として2030年までに到達したいと考えている目標である6,400万kWの約半分です。

 

3,200万kWまでの到達にかかった年数は、せいぜい5年といったところなので、実は国としては2030年の目標はかなり余裕を持って達成出来ると踏んでいます。

 

その結果、数年前までは太陽光発電を始める方に交付されていた補助金が現在ではほとんど交付されなくなり、さらに買電の価格も年々下がっています。

 

恐らくこの流れは今後さらに加速するはずです。

国が太陽光発電の導入に積極的(協力的)であり、個人として何かしらのメリットを受けられるはずだと考えるのは非常に危うく、また今後、今現在と同じような環境で投資ができるのかについても、慎重に判断する必要があるでしょう。

 

 

まとめ

 

このように、

「様々なリスクが内在」するだけでなく、

「実質利回りもそれほど高くない」上、

「顕在化していないリスクもあり、先行きが不透明」な太陽光発電への投資は、

総じて魅力的ではないと判断できるのではないでしょうか。

 

近年登場したばかりの投資は(太陽光発電だけでなく、仮想通貨やAIなども含めて)、まだまだ未来を予測することが困難です。

こと、投資(資産運用)に関して言えば、決して新しい商品が優れているわけではありません。

株式投資やヘッジファンドなど、昔からの実績がありメリット・デメリット含めて様々なことが明らかになっているものの方が良いことも往々にしてあります。

表面的な魅力に振り回されて流行りに飛びつくことなく、きちんとその価値を見極めるようにしましょう。

 

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