豊かな老後を過ごすために必要な資金は、ズバリいくら?
充分に満足できる老後生活を送る為には、ズバリいくらの貯蓄が必要なのでしょうか?
必要な金額と言っても、もちろん生活水準に変わるため、一概には言えません。
今回、最も公正なデータを元に、より客観的に考えるため、国民の生活設計に関わる情報を広く集め提供している、公益財団法人「生命保険文化センター」の情報を参考に考えていきたいと思います。
➡︎ 参考:公益財団法人|生命保険文化センタ http://www.jili.or.jp/research/report/chousa28th_1.html
この組織は、生命保険制度の健全な発展のため、国民の生活費に関する実態調査や意識調査を行っており、老後の実際の生活費を確認するために非常に頼りになります。
まず見てみたいのは、老後の「最低日常生活費」です。これは老後、日常生活を送るにあたっていくらの金額が必要か、というものです。
15万円/月未満と答える人から40万円以上と答える人までいますが、調査の結果、平均は22万円/月とのことです。
次に確認したいのは、この「最低日常生活費」に加えて、ゆとりある老後生活を送るためにはどれくらいの上乗せ額が望ましいか、という調査です。
こちらについては、調査の結果、平均で12.8万円/月というデータが得られています。
これらのデータから、ある程度の余裕を持って暮らしていくために必要な金額は、一般に34.8万円/月だということが分かります。
ただし、これは”本当に”余裕を持って暮らそうと思った場合の金額です。普通に暮らす程度であれば、22万円に5万円程度を上乗せした、27万円/月程度が妥当と考えられます。
現在、平均寿命が女性87.14歳・男性80.98歳となっていますので、間をとって84歳で考えると、60歳で定年退職をしてから平均寿命までの24年間、合計で7,776万円が必要という計算になります。
老後の収入源である年金は、実際いくら貰えるのか?
さて、ここで老後の収入源となる年金について考えてみましょう。
老後に受け取れる年金には2種類あります。
まず1つ目は「国民年金」です。これは、国民全員が一律で加入するものであり、20歳から40歳まで年金の支払いを続けることで、約 65,000円/月を受け取ることが出来ます。
2つ目は「厚生年金」です。こちらは、厚生年金保険の適用される会社に勤務する従業員と公務員が受給可能であり、人によって金額が異なりますが、平均すると約 148,000/月の金額を受け取ることが出来ます。
つまり、2つの年金を合計すると、受け取ることの出来る年金は、約 213,000円/月です。
いずれの年金も、2017年現在、受給することができるのは65歳からとなっているので、平均余命の81歳までに、合計で約4,856万円を受給することができます。
余裕のある老後を送るには、定年(60歳)時点でどの程度の貯金があればいいのか
さて、余裕を持って老後の生活を送ろうと思った場合には、7,776万円が必要なのに対し、年金で受給できる金額が4,856万円しかないことがわかりました。
これだけを見れば、この差額の約 3,000万円が貯金として手元にあれば、問題なく生涯生活することができるように思えます。
ただし、これは”突発的に”発生する出費や、老後ならではの普段の生活”外”の出費を、全く考慮せずに考えた金額です。
そのため、実際にはもう少し余裕を見て貯金をしておく必要があります。
老後に突発的に発生しうる出費としては、以下のようなものが考えられます。
・車や家の維持費
:100~200万円程度は見込んでおきたいところです。
・病気や怪我でかかる医療費
:300~500万円程度は見込んでおいた方が良いでしょう。
・子供、孫への資金
:子供の結婚や孫のお祝い等。親として祖父母として資金を渡したい場面は多く訪れます。その額は総額500万円とも言われています。
・老人ホームの費用
:子供たちに負担をかけないようにするためには、400~500万円程度は見込んでおいた方が良いとも思います。
etc…
さて、これらを考えてみると、3,000万円の貯金だけでは足りないことが分かるかと思います。
こういった諸々の費用を考慮すると、暮らしている地域や家族構成などによって差はありますが、不安のない老後を送るためには、約5,000万円もの貯金が必要になってくることがわかります。
不安のない老後を送るために、30代〜50代の人達が考えるべきこと
定年退職の時点で、やはり、約5,000万円もの貯金があることが望ましいということが分かりましたが、この金額、けっこう大きいと思いませんか?
「60歳までにそんなに貯めるなんて、自分に可能なのだろうか…」と思う方も少なくないでしょう。
確かに、全てを貯蓄によって積み立てていくのは簡単ではないでしょう。
しかし、しっかりと計画立てて確実な資産運用をすれば、決して非現実的な金額ではありません。
具体的なケースを見ていきましょう。
現在40歳、貯金は2,000万円という方の場合:
純粋な貯蓄で言えば、この方の場合、残りの20年で3,000万円を貯めなければいけないことになります。
40歳であれば、中学生〜高校生くらいのお子さんがいらっしゃる方も多いでしょうし、これまで以上に教育費など出費は増えていきます。
また、加齢に伴って、ご自身の医療費なども少しずつ増えていくかもしれません。
そうなってくると、ますます貯蓄をしていくことは難しいように感じます。
しかし、仮に年+4%で運用することが出来れば、20年後(60歳時点)には、元手となる2,000万円は約 4,382万円になります。
ここに退職金が加われば、40歳から追加で貯金をせず、この2,000万円を地道に運用しているだけでも、目標としている5,000万円を達成することができそうです。
これまで、貯蓄をする余裕がある方であれば、これから出費が増えたとしても、決して無理なく暮らしを続けていくことができるのではないかと思います。
現在50歳、貯金は2,000万円という方の場合
この方の場合、純粋な貯蓄だけだと、残りの10年で3,000万円を積み立てなければいけません。これは、途方もない金額です。
ですが、年+7%で運用することが出来れば、この2,000万円を10年間で約3,934万円まで増やすことが可能です。
ここに退職金や、追加の貯金分を考慮すれば、老後の資金については問題なく準備できる見込みが立ちますね。
********************************
このように、きちんと計画を立てて運用していくことができれば、決して悲観的にならずに安心して老後を迎える準備ができることがわかります。
40歳や50歳の時点である程度の貯蓄があれば、それを確実に運用し、加えて退職金を加味することで老後資金を充分に用意することが可能になるということがわかりました。
一般の方(サラリーマンなど)の資産運用については、以下の記事でも解説しているので是非合わせてご一読ください。
➡︎ 年利10%が最適!?個人投資家が狙うべきリスク・リターンのバランスとは
➡︎ 100万円の有効な使い方!将来に向けて投資を考えてみる
資産運用をする方に向けて、50歳からの資産運用では、様々な情報を発信しています。
これから運用を考えようという初心者の方から、既に運用をスタートしている経験者の方にまで、様々な役立つ情報や考察記事を掲載しているので、ぜひ参考にしてみてください。