不動産投資について
「不動産投資」というと、家賃収入という形で「不労所得」を得たり、転売で大きな利益を得たりと、何かと夢のある話に思えます。
「不動産オーナー」と言えば、お金持ち(富裕層)の代名詞のような側面もあり、「いつか自分も」と夢見る人も少なくないでしょう。
そこで今回は、ある程度資産が貯まってきた方が始められる不動産投資について、代表的方法をいくつか比較していきたいと思います。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、是非検討の際の材料にしてみてください。
不動産投資の3つの選択肢
不動産投資の方法として代表的なものとしては、
・物件オーナー(ワンルーム/一括)
・物件オーナー(一棟買い/ローン)
・REIT
などが挙げられます(もちろんこれが全てではありません)。
そこで、今回はこれら3つの方法について、その特徴やメリット・デメリットを解説していきたいと思います。
また、資産運用の方法を比較する際には、その「予算」が大きく影響します。
世界的不動産王であるトランプ氏などとは、同じ「不動産投資」でも一括りにして考えることはできません。
そこで今回は、日本人が本格的な運用を考え始める「1,000万円」の運用資金を前提に話を進めていきたいと思います。
物件オーナー(ワンルーム/一括)
不動産投資と聞いて、真っ先に思いつくのは、一括でそのまま不動産を購入する方法でしょう。
これは非常にシンプルで、1,000万円を元手に不動産を購入し、入居者からの家賃収入を得ることが大きな目的となります。
ちなみに、これを「インカムゲイン」と呼びます。
仮に、一括払いとはいかず一部をローンにしたとしても、ここでは1,000~1,500万円程度の物件を持つと場合を検討してみましょう。
1,500万円の物件について、900万円を現金、残りの600万円を金利2%の25年ローンで返済する場合、ローンの返済額は、月々22,000円程度となります。
これとは別に、月に1万円の管理手数料を管理会社に払うとすると、月に3.2万円以上で貸し出せばその差額が「家賃収入」、すなわち不労所得として手に入るのです。
仮に、家賃を8万円で貸し出せば、不労所得は月に48,000円となります。
この不動産投資の良いところは、「仕組みが非常にわかりやすいこと」や「自分自身の感覚で投資できること」「運用の手間がかからない」といったことが挙げられます。
皆さんが住んでいる街や地域であれば、「この物件は人気がありそう」だとか「この街は住みやすい」といったことを肌で感じているはずですので、株式投資などと比べるとよっぽどわかりやすい運用になるでしょう。
一方で、ワンルームマンションなどに投資した場合、仮に入居者がいなければ収入を得ることはできません。いわゆる「空室リスク」が存在します。
収入を得るつもりが、ローンの返済や管理費を払い続けるだけになってしまうリスクがあることをきちんと理解しておく必要があります。
また、本当に価値のある(魅力的な)物件は、一般の投資家に情報が降りてくる以前に不動産業者が持っていってしまうことも少なくありません。
特別なコネでもない限りは、「余り物」から選ばなくてはいけないのも、一般の投資家にとっては不利な状況だと言えるでしょう。
一方で、不動産の場合は、値上がりを見込んで転売益=キャピタルゲインを狙うという方法もあります。
1,000万円で購入した物件が、数年後に1,200万円に値上がりした場合、その差額の200万円を利益として得る方法です。
しかし、こちらもワンルームマンションなどではあまり期待できません。
東京オリンピックによって、東京の地価や不動産価値が上がるなどとも言われていますが、不動産価値が上昇するような物件は、都心部の超一等地にある高級住宅が中心で、ワンルームマンションなどではあまり期待できません。
また、少子化・人口の減少が進むと、自ずと1つの物件に対する競争は沈静化するため、価値が下がることも大いに考えられます。
そもそも、不動産の場合「売却したい!」と思っても、すぐに買い手がつかない、いわゆる「流動性リスク」も存在します。
買い手がつかなければ、当然売却して利益を得ることもできません。
ワンルームマンションの値上がりで、キャピタルゲインを期待するのはあまり得策ではないでしょう。
メリット
・投資の仕組みがわかりやすい
・家賃収入(インカムゲイン)で不労所得
デメリット
・空室リスクで一転マイナス収支
・業者と個人の情報格差
・資産の流動性は低下
・キャピタルゲインは期待できない
物件オーナー(一棟買い/ローン)
ワンルームマンションを購入する方法と似ていますが、がっつりローンを組んで大きな物件(マンション一棟など)に投資をするという方法もあります。
物件1つ1つではなく、その町全体の魅力や今後の発展などを考慮して投資先を検討したり、そもそも投資先として検討できる選択肢が大きく増えるため、ワンルームマンションに投資するよりも投資の幅が広がります。
物件を複数確保することによって、「空室リスク」も「100 or 0」ではなく部分的にすることができますし、人気の街(東京だと、麻布・青山・赤坂・六本木といったいわゆる「3A1R」など)の物件を確保できれば、キャピタルゲインも狙えるかもしれません。
ただし、ローンを組む場合には、金利が発生するので注意が必要です。
一般的に「住宅用」の不動産を購入する際の金利が1~2%なのに対し、「投資用」不動産に対しては2~5%程度と数倍の金利がかかると言われています。
つまり、この金利分を上乗せしてでも、さらに利益を得られるような費用対効果の高い物件を手に入れなければ、ローンを組んでまで不動産投資をする意味は得られないのです。
もちろん、より大きな物件になればなるほど、不動産業界の業者や、不動産のプロ達が目を光らせており、競争は熾烈になりますし、その物件を評価する際に検討しなければいけないこともより複雑で難しくなります。
ローンというリスクをとってまで、難易度の高い大型の物件に投資をすべきかは、慎重に考えた方がよいでしょう。
メリット
・投資の選択肢が拡がる
・空室リスクを軽減できる
・ワンルームマンションでは狙いにくかったキャピタルゲインも狙える?
デメリット
・高い金利を上回る投資効果を得なければならない
・不動産に対する知識や判断はより難しくなる
・不動産業者との戦いはより激化する
REIT
REITとは「Real Estate Investment Trust」の略称で、不動産投資信託のことを指します。
つまり、投資信託と同じように、たくさんの投資家から少しずつ資金を集めて、大きな不動産に投資し運用するというものです。
投資信託という形をとるため、10万円程度から運用をスタートすることもでき、ハードルが低いというメリットがあります。
また、個人では決して投資できないような、ビルやテーマパークなどといった様々な大規模物件に、分散して投資(分散投資)できることも魅力の一つです。
加えて、投資信託であるため、いつでも売買ができるのもREITの優れている点です。
一方で、ただでさえ不動産業者など、数々の仲介業者に手数料を払わなければいけない不動産投資において、さらに証券会社や運用会社など、様々な金融機関に追加の手数料を払う必要が出てきます。
いわゆる「中抜き」の割合がますます高くなるのです。
加えて、投資信託化することにより、仕組みが複雑になるため、いよいよ一般の投資家の判断が及ばないレベルに達する可能性も出てきます。
「目論見書」などもありますが、あくまでも公的な文書であり、決して投資家にとってわかりやすい解説がされているわけではありません。
大切な資産を運用するのですから、どのような運用がされているのかをしっかりと把握できるものに投資するべきでしょう。
メリット
・少額から始められる
・好きな時に売買でき、流動性が高い
デメリット
・中抜き業者が増え、目に見えない手数料が肥大化
・運用の仕組みが複雑になり、理解/判断できない
不動産に限らず様々な選択肢を検討する
これまで、不動産投資について、代表的な方法の特徴やメリット・デメリットを解説してきましたが、いずれも一長一短だったことがわかると思います。
それほどまでに、資産運用の方法は、それぞれ特色があり、人によって最適な運用方法は変わってくるのです。
ちなみに、個人的な見解を述べると、個人が不動産に投資するのはあまりオススメではありません。
たくさんの業者を仲介しなければならない上に、特にこれからの人口減少社会を考えると、一個人が家賃収入で豊かな暮らしを送るのは簡単ではないでしょう。
ここでは、不動産投資についていろいろと解説してきましたが、個人でできる資産運用の方法は他にもたくさん存在します。
株、債券、投資信託、FX、ファンド、現物、、、、
50歳からの資産運用では、様々な投資手法についての考察記事を掲載すると共に、資産の状況や考え方に応じた様々な運用プランを比較・紹介しています。
是非、いろいろと目を通していただき、資産運用の際の参考にしていただければと思います。