2020年の株式相場
2020年になり、令和も2年となりました。
今年は、夏に東京オリンピックも控えており、新たな気持ちでスタートを切りたいところですが、残念なことに株式市場は荒れています。
1月6日に23,204円でスタートした2020年の株式市場ですが、その後上げ下げを繰り返し非常に不安定な状態が続いています。
1月14日には24,000円を超えた日経平均株価ですが、その後スルスルと株価を下げ、月末には22,000円台にまで下落してしまいました。
たった1ヶ月の間に、5%以上も株価が変動していること自体も困ったことではありますが、さらに細かく着目すると、例えば1月29日の日経平均終値は23,370円ですが、翌30日の終値は22,974円にまで、わずか1日の間に2%近く下落しているのです。
参考:日経平均 – Google 検索
このように、大きく荒れながら始まった2020年の株式市場ですが、急な乱高下によって大きく損をしてしまった投資家も少なくないようです。
この記事を読んでくださっている方の中にも、急な株価の下げに対処しきれず、保有資産を大きく減らしてしまった方はいらっしゃるでしょう。
慌てて売り注文に切り替えている投資家もいるようですが、この下落はいつ反動するかもわかりません。
株式投資をしている個人投資家は、今後も最新の注意を払う必要があるでしょう。
相場変動の背景にあるものとは
このように、大きく株価が変動してしまった背景にはどのような理由があるのでしょうか。
個々の企業の業績の良し悪し(新製品がリリースされたとか、革新的なサービスが提供された、など)による影響は少ないでしょう。
大きくは、世界情勢に左右されています。
年明け早々、アメリカがソレイマニ司令官を空爆によって殺害したとして、アメリカとイランの対立が激化しました。
これは単にアメリカとイランだけの問題には止まりません。アメリカの情勢が世界の経済に影響を与えることは当然ですが、イランもまた、世界有数の産油国として世界経済に大きく影響します。
特に、日本に関していえば、アメリカとの友好関係が景気を大きく左右することももちろんですが、親日国であるイランへの経済制裁もまた無視できるものではなく、まさに板挟みの状態です。
また、1月下旬頃から「新型コロナウイルス」の感染が拡大し、世界を震撼させています。中国の武漢で発症した新型コロナウイルスは、だんだんと感染を拡大し、ついに日本にも影響を及ぼし始めました。
中国の旧正月である春節とちょうど時期が重なったこともあり、インバウンド特需の減少など直接的な影響も出始めています。
このように緊張感の高まるニュースが多い一方で、夏には東京オリンピックも控えています。とはいえ、マラソンの開催地が東京から札幌に直前で変更になるなど、課題がないとも言い切れません。
オリンピックの成功の可否は短期的な経済効果だけでなく、長期的な東京・日本の評価にもつながってきます。
そして、世界が最も注目するべきは、11月に控えたアメリカ大統領選挙でしょう。
新しい大統領が誰になるのか、トランプ大統領が再選するかどうかは、今後の世界情勢を左右すると言っても過言ではありません。
過激な発言や強硬策も多いトランプ大統領ですが、日本に関していえば、安倍総理と有効な関係を築いていることもあって決して悪い相手ではありません。
これら意外にも、世界がどう転ぶのか予測ができないような大きなトピックはたくさん控えています。
つまり、相場が大きく変動するチャンスは多くあるのです。
荒れる相場でも安定して運用をするためには
経済が大きく揺れるチャンスが多いことはわかりましたが、重要なのはその数だけではなく、いずれにケースについてもどちらに(好景気となるのか、不況となるのか)振れるのかわからないということです。
オリンピックの成功可否の判断も難しいところですが、アメリカ大統領選挙の行方など誰にも想像できないでしょう。
もっと言えば、アメリカによるイランへの攻撃や新型ウイルスの感染拡大など、まったく予想もできないようなニュースが飛び込んでくることもあります。
このように今後も予測がつきにくい相場でも安定した運用をするためには、相場に左右されない(影響されにくい)運用をすることが重要です。
ここでは、そのために有効な2つの方法を紹介したいと思います。
株式の資産価値に着目する
まず初めにおすすめしたいのは「資産価値」に注目した投資(銘柄選定)の方法です。
「価値(value)」に注目するため、一般にバリュー投資と言います。
企業には、設備や不動産、有価証券、現金など、ありとあらゆる「資産」があります。一方で、借入などの負債もありますが、トータルで見た企業の「価値」と、実際の株価を比較して銘柄選定をする方法が、バリュー投資です。
株価は変動しつつも、将来的には適正な価格に収束していく傾向があるため、会社の価値(適正価格)が、市場での取引価格(株価)よりも高ければ、その株はいずれ値上がりする可能性が高いということになります。
一方で、市場のトレンドや、経済情勢、直近の株価の変動、出来高などによって売買をする、いわゆるテクニカルな投資(デイトレード)は、相場の影響を”モロ”に受けます。
もちろん、バリュー投資によって導き出した銘柄も、景気には左右されるため、ある程度株価は変化しますが、その影響は限定的です。
また、短期的に株価が動いたとしても、ある程度の時間をかけて、最終的には適正な価格に収束していきます。
企業の資産価値を判断する代表的な指標としては、PBR(株価純資産倍率)などが挙げられます。
市場が荒れていても、相場に左右されにくい運用したいのであれば、バリュー投資は最も優先するべき考え方の一つです。
株式市場の外に投資する
もう一つ、これは裏技的な方法になりますが、市場で取引されていない、いわゆる「未公開株式」に投資する方法です。
市場で取引されていないため、当然市況の影響を受けることもなく、ニュースやトレンドには簡単に左右されない安定した運用が可能になります。
ですが、未公開株式(非上場の会社)に投資するのは、個人投資家にとっては決して簡単ではありません。
非上場の企業の株主(創業者一族や経営者、社長など)と直接取引しなければなりませんし、基本的には全株取得することになるので、数千万円単位での投資が必要になります。
もちろん個人投資家が簡単にできることではありませんが、トータスパートナーズ(Tortoise Partners)のようなPEファンドを活用することで現実的に運用することができるでしょう。