50歳からの資産運用 投資信託 かんぽ生命の不正販売に見る、手数料ビジネスの問題点とは

かんぽ生命の不正販売に見る、手数料ビジネスの問題点とは

かんぽ生命、日本郵便による不正販売が大きな問題となっています。背景には会社による営業ノルマや、民間企業ならではの事情があるようです。
今回は、不正販売をしてしまうに至った背景から、金融商品を販売する会社の事情や営業する側の思惑・意図について考えていきたいと思います。
信頼できるのは誰なのでしょう?

投資信託
最終更新日:2019年09月25日

かんぽ生命と日本郵便が10万件超の不正販売

 

かんぽ生命や日本郵便による保険の不正販売が大問題になっています。

不正販売の内容としては主に以下のようなものが発覚しています。

・新旧2つの保険を契約させた上での二重払い
・契約の切り替えで済むケースであっても、新規の保険を提案し契約
・契約の切り替え時に空白の保証されない期間(3ヶ月)が発生してしまう
・高齢者への販売の場合には、家族同席での説明が必要だが、それを実施していない

 

現時点で上記のような不正が既に発覚しており、その件数は判明しているものだけでかんぽ生命で18万件、日本郵便で(アフラック生命保険の委託販売で)10万件を超えています。

 

不正の発覚後、再発防止や契約の見直し、正しい契約内容への訂正・保証など事後対応が進んでいますが、今回の事件はかんぽ生命、日本郵便のみならず、金融商品全体の信頼をも揺るがしかねない非常に許しがたい事態です。

今後、適切に改善されることを願うばかりです。

 

 

なぜ不正販売は起こったのか

 

不正販売が起こってしまった背景に、かんぽ生命や日本郵便内での「ノルマ」があると言われています。

日本郵政は、2007年10月に、ときの小泉内閣によって「民営化」されました。それまで国営だった郵政三事業(郵便、郵便貯金、簡易保険)が、それぞれ「日本郵便」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」という3つの民間企業に委託されたのです。

 

これら3つの会社は上場もしている「民間企業」なので、業績を上げ利益を得る必要があります。

職員は、お給料をもらって生活をしている、いわゆる「会社員」です。営業を担当している人には、当然ノルマがあります。事業が上手くいっていない中で、会社からの圧力が強くなることもあるでしょう。

そんな中で、今回の組織ぐるみ(の疑いですが)での不正が行われてしまいました。

 

営利目的の民間企業である以上、会社には、”その会社の都合”があります。

ユーザー、顧客、消費者のことを考えていても、自分たち(自社)の利益にならないことはしません。今回のケースでは保険を「売る」ことが会社の利益になるために、不正をしてでも売るという事態になってしまったのだということがわかります。

 

 

ポイントは「販売会社」と「運用組織」

 

今回のケースを、投資商品(株や投資信託、ヘッジファンド)に置き換えて考えてみましょう。

まずはじめに「株式」は、上場という形で世の中全体に対して「買ってください!」という宣言をしています。会社が直接、私たちに「弊社の株を買いませんか?」と営業に来ることもないので、最もフェアな売り方かもしれません。

 

一方で「投資信託」は証券会社が”販売”しています。オススメの銘柄や、人気ランキングなど、商品を投資家にアピールするためのポイントが色々とあり、まさに「営業商品」です。

 

また、ヘッジファンドにも「弊社の運用の強みは〇〇です」といったアピールポイントがあります。「私募」のファンドが向こうから営業に来ることはないですが、話を聞きにいけば、何かしらのセールストークは待っています。

 

どちらも「営業」という点は共通していますが、“誰が”それを行なっているかを考えると、その本質は全く異なっていることがわかります。

 

ヘッジファンドは、「私募」として自社で直接募集をします。ファンドを売る=資金を調達する目的は、ファンドの資産を増やすためです。

ヘッジファンドは、運用によって得た成果から報酬を得るため、会社の資産が増えれば増えるほど、会社の利益も大きくなります。

 

パフォーマンスや手数料(成果報酬)が同じファンドの場合、純資産が2倍になればファンドが得る利益も2倍です。

投資の場合、20億円運用するのも50億円するのも手間に大きな差はありません。負担が増えない、ということはありませんが、単に2.5倍のコストがかかる訳でもありません。2.5倍の人員が必要になることもありません。

 

そのため、ヘッジファンドは資金を調達することが自社の利益に繋がるのです。そして、この利益は投資家にも還元されます。

ヘッジファンドの収益の柱は「成果報酬」なので、運用によってリターンを得なければ、いくら資金だけを集めても意味がありません。

ヘッジファンドは、資金調達こそすれ、その本質は「運用」にあるので、結果として出資者の利益も考慮されています。「運用組織」そのものであるヘッジファンドと出資者は同じ船に乗った運命共同体です。

 

一方で、投資信託を販売(営業)するのは、証券会社です。証券会社は、運用会社であるファンドから”卸された”証券を販売する「販売会社」であり、運用とは一切関係がありません。

つまり、販売した投信で、あなたが得をしようと損をしようと関係が無いのです。

 

そのため、証券会社は、投資家(あなたのため)を思って営業をしてくるわけではありません。会社の中にあるノルマや(会社の中で決まった)おすすめ商品などを積極的に販売してくるでしょう。

それらが、質の悪い(損をしてしまうような)銘柄だったとしてもです。

 

ヘッジファンドと投資信託(証券会社)の違いを見ても、同じ営業でも誰が(運用する主体なのか、委託された販売会社なのか)販売するのかによって、その会社がフェアな立場なのかどうかが変わってきます。

 

そのことを最も簡単に確認できるポイントは「営業してくる人が、その商品を買っているか(出資しているか)どうか」です。

もし気になるものがあれば、ぜひ確認してみてください。

証券会社の営業で勧めてくる投信を買っている人はいませんが、ヘッジファンドであれば営業・運用している人が、ほぼ確実に出資しているはずです。