投資をする上でリスクという考え方は必須
投資をするとき、例えば株を買おうと思った時、何を考えて銘柄を選べばいいのでしょうか。
よく耳にするのは、
「今後人口知能が伸びるはずだから、人口知能に関連した銘柄は上がりそうだ」とか
「”ポケモンGO”が流行ったから任天堂もあがるはずだ」とか、
そういったリターン側の予想です。
しかし、これにはどれくらい下がりそうだとか、どれくらい実現の可能性があるかという予想は含まれていません。
例えば、新しい人工知能の分野で開発を行っているベンチャー企業、確かに研究開発が上手くいけば株価は2倍にも3倍にもなるかもしれません。
けれども、その開発資金の多くを銀行から借り入れているとしたらどうでしょう。資金繰りは大丈夫でしょうか。利益が上がる前に倒産しないでしょうか。
そうなったら期待したリターンは達成できないですよね。
投資においてはリスクとリターンを常に”セット”で考える必要があります。
2倍にあがりそうな株でも、倒産しそうな確率も高かったら投資すべき銘柄とは言いづらいですよね。
一般的にはローリスクな株はローリターン、ハイリスクな株はハイリターンとなっていますが、リスクに対するリターンの割合がいいものに投資することが成功の秘訣と言えるでしょう。
正確に評価することが難しいものもありますが、一般に投資に関して考えられるリスクとしては以下の7つが考えられます。
1. 価格変動リスク
2. レバレッジリスク
3. インフレリスク
4. 信用リスク
5. カントリーリスク
6. 為替リスク
7. 詐欺リスク
これら7つについて以下に順を追って考えていきたいと思います。
知っておきたい7つのリスク
投資に関するリスクには、ありとあらゆるものがありますが、頭ごなしに否定してはいけません。
リスクとはありとあらゆる所に転がっています。転職にも、スポーツにも、恋愛にだって、リスクはあります。
これらの中で、リスクを取ることは、時に”チャレンジ”とも呼ばれポジティブに捉えられるのに対し、投資に関するリスクばかり、よくないものとして捉えられてしまうのはなぜでしょう。
投資に関するリスクが「怖いもの」「危ないもの」と感じるのは、それがよくわかっていないからです。
大切なのは知ることです。無条件に怖がるよりもまずは、ただしく理解ことから始めましょう。
1. 価格変動リスク
まず、分かりやすいものに「価格変動リスク」があります。これは、購入した時よりも価格が下がってしまうリスクです。株式や投資信託など価格が変動する金融商品を買う際は注意しなければなりません。
例えば、株では100 万円の株が1 年後に80 万円や50 万円というように、購入金額を割り込んで下落してしまうことですが、こういったことはよくあります。
もちろんあがることもありますが、株を買う時はリスクとリターンのバランスをしっかり検討してから買うことが重要になってきます。
損をすることがあるというと、怖い気がしますがあくまで現物株のとりひきであれば、投下した資産以上の損はないのでその点では安心です。
しかし、投資では借り入れを行い自分の資産以上の取引もすることができます。それがレバレッジです。
2. レバレッジによるリスク
レバレッジを用いた取引で代表的なのはFXや不動産です。
FXとは外国為替証拠金取引のことで外貨を売買できます。
例えば、ドルを買ったりユーロを買ったりすることで、ドルやユーロを持っている状態で円安になると収益が出ます。FXではレバレッジを25 倍まできかせることができます。
米ドル円の取引で考えてみましょう。取引は最低1 万通貨からとなっていることが一般的ですので1 万ドルです。もしレバレッジがなければ100 万円ないと投資出来ないということになってしまいます(簡単のため1ドル = 100 円としてます)。
しかし、レバレッジをきかせることで4万円あれば 4×25 = 100 万円として取引することができます。
これは、とてもハイリスク・ハイリターンな取引となります。
例えば為替が1 円動くと1 万通貨での取引では1 万円動くことになりますが
▶︎ 100万円に対する1万円だと1%
▶︎ 4万円に対する1万円だと25%
と価格変動がとても大きくなるのです。
このようにレバレッジをきかせることで自分の資産以上の取引ができてしまいます。不動産ではフルローンと言って、信用力で銀行から借り入れをして不動産を購入することも出来てしまいます。
レバレッジとは要はお金を借りて取引をしているのです。競馬やパチンコをお金を借りてまでやる人は少ないと思いますが、不動産ではそれが当たり前になっていると思うと考えさせられますね。
では、いっそ価格変動しない金融商品がいいのでしょうか。元本割れしない金融商品には預金や債券があります。
3. インフレリスク
預金は確かに元本割れすることはありません。
100万円預けておけば1 年後も100万円から減ることはありません。一応金利もつきますので、メガバンクの金利0.001%で考えると、100万円預けておけば100万と10円になる計算です。
では、預金しておけばリスクはゼロなのでしょうか。
そんなことはありません。
インフレリスクと呼ばれるものがあります。これは、物価の上昇によりお金の価値が下がってしまうリスクを指します。インフレが起きると貨幣の価値は減少していきます。単純に物価が2 倍になったら同じ1万円でも買えるものは半分になってしまいますよね。
つまり、銀行に100万円を預けておいても、物価が2 倍になったら預けたときの価値で言えば50 万円しかないことになってしまうのです。このように預金というのは常にインフレリスクにさらされているのです。
次に債券はどうでしょうか。
4. 信用リスク
債券を買うことはお金を貸すことと同じですので、基本的には元本保証です。
満期まで持てば、購入時に約束された利息と元本の支払いを受けることができます。
ただし、発行体が破綻した場合は利息や元本の支払いを受けることができません。これが信用リスクです。
国債であれば、国が発行体ですので信用リスクは限りなく小さいですが、社債であればその企業が倒産したら利息や元本を回収することができません。
どの企業にどれくらいの信用力があるのかを測る目安として格付けがありますのでそれを参考するようにしましょう。
5. カントリーリスク
日本の国債であれば、信用リスクは小さいですが、海外の情勢が不安定な国だと話は別です。
政治や経済の状況が安定しておらず、場合によっては資金を回収できないこともあるでしょう。
このように国に対する信用リスクのことを「カントリーリスク」と言います。
6. 為替リスク
続いて外貨建てで金融資産を持った時のことを考えてみましょう。
近年、保険などでよく見られるのはドル建てでアメリカの国債を買うといったものです。
従来、日本の国債を買って運用することが多かったですが、利率がアメリカの国債の方が高いためドルで運用するものも増えています。
国債なので運用によってドルが減ることはないですが、円に戻すときに円高になっていたら元本割れする可能性があります。
例えば、1 ドル100 円の時に運用を開始したとします。1ドルを年利2%で運用すると、1年で1.02ドルに増えます。これを円に戻すと、為替レートが1 年前と変わらずに1ドル100円であれば、102円になります。
しかし、もし1ドル95円というように円高になっていた場合は、1.02 * 95 = 96.9 円と100 円を割ることになってしまいます。
これが為替リスクです。国債だから元本割れすることはないと安心せずに、外貨建てで運用する際は注意しましょう。
7. 詐欺リスク
運用の仕方としては自分自身で銘柄を選択したり、売買したりする以外にも投資ファンドに預けるというように、専門のプロに依頼する方法もあります。
そういった、運用を生業とする会社はいくつもありますが、中には詐欺を働くような悪質なものもあります。他人に預けるという選択をする際は詐欺のリスクもあるということに注意して判断するようにしましょう。
大事なのは正しく理解すること
いかがでしたでしょうか。
正しく理解することで、今まで無条件に恐怖を感じていた投資のリスクについてきちんと考えることができたかと思います。
日本ではまだまだ金融についてのリテラシーが低く、投資についての知識が不足してる方が、残念ながら数多くいらっしゃいます。
50歳の資産運用では、そんな皆さんのために少しでも、資産運用に関する有益な情報を提供できればと考え、様々な情報を発信しています。
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