株や債券で資産運用・投資をしていく場合、ほとんど全ての人が証券会社のお世話になるはずです。
日本で株や債券の売買をする場合には、当然と言っていいほど証券会社のサービスを活用することになるわけですが、証券会社では売買の窓口としてだけでなく、資産運用のアドバイスをしてくれる場合もあります。
しかし、証券マンの(証券会社の窓口での)アドバイスをそのまま鵜呑みにしてはいけません。
時として彼らは、投資家の利益でなく、自分たちの利益(企業の売上、自分の営業成績)のための商品を売りつけて(オススメして)くる場合があります。
今回は、そんな証券マンの営業トークを見抜くために気をつけるべき5つのポイントをまとめて解説していきます。
注意したい5つの営業トーク
儲かる商品を勧めてくる
投資・運用をしている人であれば、当然「資産を増やしたい」「儲けたい」と思っているはずでしょう。
もちろん投資家が資産を増やすために様々な商品を見極めることは少しも間違っていません。
しかし、その思いにつけ込んで「この商品(銘柄)が儲かりますよ」などと、特定の商品が儲かりそうという話をネタに営業してくる証券マンには注意が必要です。
特に「絶対儲かります!」などと、儲かることを断言してくる担当者には注意した方が良いでしょう。
株や債券、投資信託はもちろん、全ての金融商品にはリスクとリターンが存在します。
絶対・確実に儲かる金融商品など無いという大前提を忘れないようにしましょう。
ごく稀に「金利」のように確実に増えるようなものも存在しますが、利回りが非常に小さかったり(メガバンクの金利は年0.001%)、額面だけが保証されていてインフレに対応できないようなものばかりです。
特に年5~10%の利回りが「確実」に保証されているような金融商品は存在しないと考えてください。
「絶対儲かります!」と言われたら、まず間違いなく危険な営業マンと言わざるを得ません。
「儲かるかどうか」ではなく、
・どの程度の利回りが期待できるのか と
・どの程度の、どんなリスクがあるのか
という観点で金融商品を見極めるようにしましょう。
(これに答えられない営業マンは話にならないので、すぐに担当替えを申し出た方がよいかもしれません)
人気・流行りの商品を勧めてくる
仮想通貨に注目が集まった時に、流行りに乗っかって大損した人は少なくありません。
「億り人」などと言われ、投資素人の若い女の子たちが一攫千金を掴むのをテレビで見て、慌てて始めた人もいたようですが、既にブームは終わりにさしかかっていて価格も頭打ちだったのではないでしょうか。
このように、ある金融商品に注目が集まったり、「儲かりそう、儲かった!」などと言った話が耳に入ってくる頃には、たいていその商品はピークを迎えており、その後から参入しても利益を得ることはできません。
これは不動産投資なども同様で、
「これからこの土地の価格が上がる!」
「〇〇にマンションを買ったら値上がりして儲かった!」
などといった話が耳に入ってくる頃には、既に値上がりは終わっており、慌ててマンションを買っても手遅れなので愛s。
この「人気の商品 ≠ 儲かる」という金融業界の常識を無視して、人気があることを理由に商品(銘柄)を勧めてくる証券マンがいたら注意しましょう。
「皆んながこぞって買っている」「今大注目」などというキーワードが出てきたら注意してください。
将来値を上げる商品というのは、これから人気が出る・ブームになるものです。
「まだ誰も注目していないけれど、今後人気になりそうなもの」を探し出すことが投資の大原則です。
未来のことを断言してくる
これは「儲かる!」と断言する話と似ていますが、未来のことなど誰にもわかりません。
この「誰にもわからないこと」を断言する証券マンが、いかに「胡散臭いか」は少し考えれば誰でもわかることでしょう。
例えば、よく聞く話だと
「今後確実に円安に向かう」
「AIの領域は確実に今後発展する」
「大企業で歴史もあり絶対に安定した業績を残す」
などといった例が挙げられますが、どれも「確実」「絶対」を裏付けるような根拠はないはずです。
確かに、歴史的に見て円高基調の時期であれば、今後円安に向かう可能性は高いでしょうし、AIなどの新規産業は発展していくことが見込まれます。
しかし、どれも絶対ではないのです。
どんな大企業でも老舗企業でも突然業績が悪化することや、アクシデントに苛まれる可能性はあります。
この様々な可能性(リスク)を無視して、不確かなことを断言する証券マンには注意しましょう。
未来のこと(今後の予測)を尋ねる際には
「〜〜の可能性が高い」
「〜〜が見込まれる・期待できる」
程度の回答が返ってくるのが一般的です。
自分自身が運用していない
「とても良い」「オススメ」と言って商品を勧めてくるのは、窓口営業の常套句ですが、それが本当に魅力的な商品なのか気になる場合には、「あなたはそれに投資していますか?(運用していますか?)」と質問してみてください。
本当に魅力的(儲かりそう)な商品であれば、勧めてくる本人がそこに投資をしていないのは非常におかしな話です。
何か特別な理由もなく、オススメしてくるものに投資していない場合は、本当にオススメしたい「良い」商品というわけではなく、ただ「売りたい」がためにそのように言っているだけだと理解してください。
ちなみに、高い運用パフォーマンスが期待できるヘッジファンドなどで、販売員(メンバー)に「あなたは自身のヘッジファンドで運用していますか?」と質問すれば、その答えはほぼ間違いなく「YES」のはずです。
ヘッジファンドなどでは、ファンドマネージャをはじめとしたファンドのメンバー自身が、ファンドに出資していることが非常に一般的です。
この質問一つをとっても、証券マンが「投資家にとって良いもの」ではなく「自分たちが売りたいもの」を勧めてくるという実情を知ることができます。
頻繁に新しいものを勧めてくる/ポートフォリオを組み直したがる
証券会社は、あくまでも「証券(株や債券など)を売買するときの窓口」であり、基本的な収入源は、証券の売買に伴う売買手数料です。
つまり、
「投資家が儲かったかどうか」ではなく、「取引があったかどうか」
で利益が生まれるということになります。
そのため、時に証券会社(証券マン)は、銘柄の乗り換えを勧めてきます。
Aの銘柄に投資している500万円をBに移したいと思った場合、Aの銘柄を500万円分売り、Bの銘柄を500万円分買わなければいけません。
この500万円分売る・500万円分買うというタイミングで証券会社は売買手数料を得ます。
もちろん、Aの銘柄に今後値上がりの見込みがなく、Bという銘柄が魅力的なときは乗り換えをすることは決して悪いことではありませんが、この銘柄の乗り換えを頻繁に勧めてくる場合は、手数料目当てのいわゆる「回転売買」の可能性があるため注意しましょう。
特に「新商品」などを勧めてくる際は、先述の「人気の商品を勧めてくる」商法との合わせ技になっています。
「ポートフォリオをリバランスしましょう」などと言われると、それっぽいことをしていると勘違いしてしまうかもしれませんが、体裁を整えているだけで目的は「回転売買」の可能性があります。
十分に注意しましょう。
ちなみにこの回転売買は、金融庁も問題視しており、「顧客本位 の業務運営を行なうということ」をしきりに訴えています。
それほどまでに金融業界の回転売買問題は深刻で、投資家の利益を損なっているのです。
尚、金融業界課題に言及した、森金融庁長官の基調講演の内容は以下のリンク先に詳しく載っているので、興味のある人は是非ご一読ください。
金融業界がいかに多くの問題を抱えているかを垣間見ることができます。
参考:「日本の資産運用業界への期待」 日本証券アナリスト協会 第8回国際セミナー 「資産運用ビジネスの新しい動きとそれに向けた戦略」における 森金融庁長官基調講演 2017 年4月7日
https://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20170407/01.pdf
投資のアドバイスを求めるなら証券会社ではなくヘッジファンド
ここまで、証券マンを見極める際に気をつける5つのポイントをまとめてきました。
気をつけるべき5つのポイント
1. 儲かる商品を勧めてくる
2. 人気・流行りの商品を勧めてくる
3. 未来のことを断言してくる
4. 自分自身が運用していない
5. 頻繁に新しいものを勧めてくる/ポートフォリオを組み直したがる
ですが、そもそも証券会社の窓口(証券マン)に運用のアドバイスを求めること自体が間違っています。
先ほどにも少し述べましたが、証券会社の主な業務は、「証券(株や債券、投資信託など)の売買を代行する仲介業務」です。
証券会社は、金融業界の一旦を担ってはいるものの、投資・運用を主な業務としているわけではありません。
そのため、「取引の仕組み」や「手数料」といった売買することそのものには精通していても、そこで「どのような運用をするか」といったことについて精通しているわけではないのです。
運用のプロではない人たちに運用についてのアドバイスをもらおうと思っても、期待しているような答えが返ってこないことは明白です。
そもそも証券マンは、投資・運用のアドバイスを求める対象ではないのです。
最近は、ファンドラップなど、投資をメインにした業務も始めているようですが、まだまだ質は低く、こちらも回転売買からの逃げ道に過ぎないのではと、金融庁から疑惑の念を向けられています。
とはいえ、資産運用をしていればわからないこともあるでしょうし、投資に関して「プロ」にアドバイスを求めたくなることもあるでしょう。
その際には、売買窓口の証券会社ではなく、運用のプロであるヘッジファンドに問い合わせた方が良いでしょう。
ヘッジファンドは投資・運用で収益をあげることをメインにした資産運用の専門組織であり、年間で10~20%超のパフォーマンスを安定してあげるところも少なくありません。
投資家目線でも、年10%近いリターンが見込め、そもそも投資信託を買うよりも、良いパフォーマンスが期待できるでしょう。
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すでに投資を行なっている人も、これから資産運用を始める人も、是非参考にしてみてください。