50歳からの資産運用 資産運用 東京五輪で土地の価格が上がる?不動産神話を信用してはいけない理由とは

東京五輪で土地の価格が上がる?不動産神話を信用してはいけない理由とは

「東京五輪」で土地の価格が上昇する。
そんなうたい文句から不動産業者は東京近郊の投資マンションを勧めてきます。
しかし実際にはその投資は正しい選択肢なのでしょうか。
五輪が終ったら確実に土地のバブルは崩壊するのではないでしょうか。

資産運用
最終更新日:2023年01月10日

 

東京五輪によって「土地の値段」が上がり続けるといった話ををよく耳にしませんか?

 

2020年の東京五輪を間近に控え、不動産業者たちは軒並み、土地の価格が上がり続けることをうたい、不動産投資を勧めてきています。

 

実際、こういった影響を受け、東京都心の不動産市場は活況になっています。

新築マンションはもちろん、個人投資家が狙う「収益物件」と呼ばれる数億円の1棟マンションやアパートも活発に取引されています。

 

市場が活発になった分、実際に不動産の値段は上がっていますが、実は、その分、利回りは落ちてしまっています。

今回は、いったいいつまで不動産の値段は上がるのか、本当にその価値はあるのかについて考えていきたいと思います。

 

 

東京五輪で土地の「価値」は本当に上昇するのか

 

東京五輪の影響で土地価格が向上するという認識は本当に正しいものなのでしょうか?

 

結論からいえば、東京五輪建設特需は、不動産業界とは無関係であると言えるでしょう

 

確かに、東京五輪の競技場や選手村の施設建設費は、招致時点で総額4,554億円とされていたものが、その後、メイン会場となる新国立競技場の建設費だけで3,000億円を超える見通しとなるなど、経済効果は全体で総額1兆円程度になるという予測も立っています。

 

そう聞くと景気の良い話に聞こえますが、これはあくまで「建設」業界の話にすぎません

五輪によって土地やオフィス、住宅の需要が増えるわけでなく、せいぜいホテル用地の需要が高まるくらいでしょう。

 

つまり、投資家たちが勧められるがままに購入している「投資用マンション」などには何の意味もありません。

人が増えるわけでも、土地が不足するわけでもないため、本質的な不動産の「価値」は上昇していません。

 

それにも関わらず、東京の山手線沿線やその周縁、城南、湾岸エリアに、川崎市の武蔵小杉駅周辺や、横浜のみなとみらい地区などは、バブルともいえる土地の価格の上がり方をしています。

 

これらの土地の価格が上がっている(需要が高まっている)背景には、購入理由の大半が実需ではなく投資であり、個人投資家によるものがほとんどという実状があります。

この投資家たちはみな、「東京五輪まで土地の価格が上がり続ける」と”信じて”いるのです。

 

 

空家率からみる不動産投資の危険性

 

では仮に、東京五輪まで土地価格が上がるとどうなるのでしょうか?

 

土地の価格が上がったとしても、このエリアに住む人口が増えるわけではありません。

つまり、継続的な需要があるわけではなく、東京五輪が終ってしまえば確実にこのバブルは崩壊するということが予想されます

 

そもそも、全国でも東京でも空き家が多数存在します。

出典:統計局ホームページ/空き家等の住宅に関する主な指標の集計結果について
http://www.stat.go.jp/data/jyutaku/topics/topi861.htm

 

総務省のデータによると、全国の空家率は年々上昇し、2013年の全国の空家率は13.5%。東京でも約10.9%が空家になっていることがあります。

 

さらに細かいデータを見てみると、千代田区で約36%、中央区で約28%の空家があり、東京都内では住宅の数は既に十分足りていることが伺えます。

 

また、東京都が出している予測によると、五輪が開催される2020年に東京の人口はピークに達っします。

 

その後はジワジワ減り始め、それに加えてどんどん「高齢化」していきます。

さらにその10年後の2030年には、住宅の需要と一致する「世帯数」も減り始めます。

 

つまり、オリンピックを境にして、東京の住宅は「供給過剰」がさらに加速し、顕在化していくことが予測できるのです。

 

こうしたデータから言えば、東京五輪まで土地の価格は上がり続けるという「うたい文句」に乗せられて、不動産投資に踏み切るのは少し早計ではないかと考えられるわけです。

 

東京近郊で不動産バブルが起こっているのは、「東京オリンピック以降、東京が繁栄していく」というイメージが先行しているからにすぎません。

 

2020年に東京で五輪が開催される」ということに注目するのではなく今一度、「2020年には東京で開催される五輪が確実に終わる」という事実を冷静に意識しましょう。

 

2020年を過ぎた東京は住む部屋だけがあまり、高齢化していく大都市にすぎません。

大げさに言うならば、いかに日本の首都である東京といえど、5年もすれば衰退の一途をたどっていく可能性が高いのです。

 

本質的な不動産(土地や物件)の需要が高まり、価値が向上していなければ、今の不動産価格の高騰は一時的なものにすぎず、いずれバブルが崩壊することも予想されます。

 

 

東京五輪に向けた正しい投資を

 

「東京五輪」に向けて投資を行うのであれば、言われるがままの「不動産投資」よりは、それまでは確実に活性化する「建設業界」の株式に投資するほうがまだ健全でしょう。

 

また、プロの投資家たちはこういった様々な背景や経済の動きを意識して日々、運用を行っています。

「東京五輪までになにか投資をしたい」と考えるのであれば、素人考えで不動産投資を行うのではなく、例えばヘッジファンドに投資をするなどをして、プロの運用を活用する方法もあるのではないのでしょうか?

「東京五輪までの経済の流れ」「東京五輪後の経済の流れ」を意識している専門家の運用を参考にしてみると良いかもしれません。

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