50歳からの資産運用 トランプ景気はいつまで続くのか?株価上昇の要因と隠れたリスクを分析

トランプ景気はいつまで続くのか?株価上昇の要因と隠れたリスクを分析

アメリカ合衆国大統領として、ドナルド・トランプ氏が就任して以降、日米ともに株価は右肩上がりを続けており、1980~90年代に記録したバブル期に匹敵するほどの株価上昇を見せています。
ただし、これは楽観して手放しに喜んでよいことなのでしょうか?
トランプ氏の大統領就任以降、沸き立つ日米の経済について詳しく分析していきたいと思います。

最終更新日:2023年01月10日

トランプ大統領就任以降、沸き立つ日米経済

 

ドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国大統領に就任して以降、日米ともに株価は右肩上がりを続けています。

 

「メキシコとの国境に壁を作れ」などと、就任前である、選挙期間中から、公私関わらずその言動に注目が集まるトランプ氏ですが、物議を醸す一方で、日米の経済は順調に推移しています。

 

2017年10月には、日経平均の連騰記録を「16」に伸ばしましたが、これは1960年12月から翌年1月にかけて達成した14連騰を超える最長記録の更新となりました。

 

また、11月5日に初来日を果たし、同月9日には22,945円の終値をつけました。

仮に今後23,000円を上回るようなことがあれば、1992年1月以来であり、およそ25年以上ぶりという記録になります。

 

また、好調なのは日本経済だけでなく、アメリカ経済においても同様で、ダウ平均株価も、過去最高となる22,000ドルを記録しています。

出典:トランプ大統領就任から約7カ月、アメリカ経済はどうなった? | BUSINESS INSIDER JAPAN
https://www.businessinsider.jp/post-100754

 

日米が好景気に沸くことは喜ばしいですが、ではトランプ大統領は一体何をしたのでしょうか?

ここでは、その要因を分析していきたいと思います。

 

 

トランプ大統領が実践した政策

 

大統領選の期間中から、マニュフェストとして多くの政策を掲げ、またそれらが大きく物議を醸してきたトランプ大統領ですが、実際に就任後に実行した政策にはどのようなものがあるのでしょうか?

 

ここでは、私たち日本人や日本経済にも大きく影響しそうな注目すべき3つの政策を解説していきたいと思います。

 

TPP離脱

トランプ大統領と言えば、「アメリカファースト」がキーワードの一つであり、それを最も表しているといっても良いのが、「TPPからの離脱」でしょう。

 

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定、Trans-Pacific Partnership)とは、太平洋を取り巻く国々の間での貿易の際にかかる関税をできる限り小さくし、自由貿易を促進しようというものです。

 

通常、輸出入の際に関税がかかるため、外国製品は価格競争力を失い(値段が上がるため)国内製品に比べて不利になります。

これを無くし、各国間で自由に貿易・競争しようというのが、TPPの目的です。

 

しかし、トランプ大統領はアメリカ国内の企業を優遇するべく、このTPPからの脱退を宣言しました。

 

特に「日本の自動車メーカーをこれ以上儲けさせてたまるか」という、トランプの発言に代表されるようにアメリカで多くの物を売っている日本の製造業への影響は小さくありません。

ただし、アメリカ国内に拠点を持っている日本メーカーは少なくなく、実は影響は限定的なのではとの見方もあります。

 

 

法人税の引き下げ

トランプ大統領は法人税を大きく引き下げようとしています。

具体的には、現在の35%から20%までの引き下げを画策しており、「理想は15%」とかなり強気の目標設定をして、政策を推進しています。

 

仮に、この税率が実現すると、1980年代のレーガン大統領時代以来、およそ30年ぶりのこととなり、このアメリカの法人税引き下げに世界中の注目が集まっています。

 

法人税引き下げの意図としては、各企業の新規事業の展開や技術開発への投資が見込めることや、それに伴うアメリカ企業の競争力強化が期待されています。

 

しかし、これは同時に、アメリカに進出している日本の企業にとってもかなりの朗報です。

アメリカ法人に限って言えば、同様のメリットを享受することができ、同じように投資や新規事業に着手することで、競争力を強化することが見込めます。

 

企業の目線で見るとメリットがある一方で、日本という「国の目線」から考えると、懸念すべき事項もあります。

日本の法人税は29%と非常に高く、既に節税を求めて、海外に主要拠点を移す企業が増えてきています。

 

今までは、アメリカの法人税も低くなかったため、近隣のシンガポールなどがその主な対象でした。

一方で、日本近隣の法人税が低い国の中で、世界の経済を牽引するような大国はなく、それを理由に海外進出を見送っていた企業も少なくありません。

法人税以上に、事業(ビジネス)の環境が優れていないのです。

 

しかし、仮にアメリカの法人税が引き下げられ、日本を大きく下回る20%になると、それこそ拠点を移すデメリットがなくなってしまします。

それによって、今現在は国内に大きな拠点を持っている企業がアメリカに主要拠点を移すといったケースが多発すると、産業が空洞化することが懸念されるのです。

 

 

オバマケアの撤廃

オバマケアとは、前アメリカ大統領である、バラク・オバマ氏が推進した、医療保険制度の改革のことを指します。

アメリカでは、国民がそれぞれ「任意」で民間の医療保険に加入する必要があり、日本のような国民皆保険ではありません。

しかし、それだと保険料を支払う余裕のない人が、医療保険に加入できません。

 

アメリカでは、保険での支払いを前提に、高額の医療費を設定しているため、保険に加入できない人は、その医療費を支払うこともできず、病状が悪化してしまうケースが問題になっています。

一人一人の健康が維持できないという点はもちろんですが、結果として、国の医療費の負担が増えてしまうのです。

 

そこで、オバマ前大統領は、低所得者に対して保険料の補助金を支給し、アメリカ人全体の90%以上が医療保険に加入できるようにすることを目標としてきました。

ちなみにこれの対象となる人数は、約4,800万人とも言われており、アメリカ人のおよそ6人に1人は医療保険に加入できていないことになります。

これが「オバマケア」の概要です。

 

トランプ氏は、この「オバマケア」を撤廃しようとしたのです。

そもそも「自由と選択の国」である、アメリカにおいて、保険の加入やそこに関するルールを国が定めるのは、弱者の保護と引き換えに、すでに保険に加入している人の負担を増やすことになります。

 

例えば、オバマケアでは、「すでに病気を持っている人を保険に加入させない」といった現行の制度を認めず、「病気持ちの人の保険加入を拒否できないとする」といった制度が設けられています。

 

これを実行に移した場合、すでに保険に加入している健康な人たちの保険料の負担が増える可能性があります。

また、営利目的である民間の保険会社が、利益を損なう可能性も出てきます。

 

競争を是とし、営利を追求することを否定しないトランプ氏は、このオバマケア制度を撤廃しようとしてきました。

しかし、これは共和党内でも多数の反発が出たため、現在では「撤廃を断念」しています。

 

これにより「党内を上手くコントロールできなかった」として、トランプ氏は、その指導力に対する評価を下げる結果となりました。

 

 

この好景気はいつまで続くのか?投資家の取るべき行動を考える

 

ここまで、トランプ大統領の取ってきた政策について、いくつか解説してきましたが、実のところこれらの功績がアメリカ経済の好調さと直接結びついているのかというと、そうとも言い切れません。

 

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway Inc.)の会長兼CEOを務め、世界最高の投資家との呼び声も高いウォーレン・バフェット氏(Warren Edward Buffett)も、現在の好景気を「アメリカ経済の功績」と見ています。

 

とは言え、今後も安倍政権下におけるの日本経済と、トランプ政権下のアメリカ経済は共に好調が見込まれており、まだまだ株価は堅調に推移するであろうとの見方が多数派です。

 

では、株価が順調に推移しそうだという見込みがある場合、「今が買い!」などと言って慌てて買いに走ってもよいのでしょうか?

 

あくまでも、経済が好調というだけで、一方で現在の市場は「買われすぎ(割高)」という側面も併せ持っています。

つまり、いつでも値下がりするリスクは内在しているのです。

 

万が一とはいえ、北朝鮮との戦争が本格化などすれば、一気に2008年頃に起きた金融危機(リーマンショック)級の暴落の可能性も懸念するべきなのです。

 

では、私たち個人投資家は何をするべきなのでしょうか?

 

まずは、市場を的確に判断するべく、しっかりと調査・分析してみることでしょう。

トランプ大統領の発言や政策などについても、一元的に捉えず、様々な角度から検証を重ねることが重要です。

 

株価が上がるのか?下がるのか?

また、上がっているのだとしたら「なぜ」上がっているのかをきちんと理解することが大切です。

 

もちろん、この好調な景気の中で「買い」を判断することが決して間違いとは限りません。流れに乗って、しっかりと利益を得ることも重要です。

ですが、その場合に、しっかりとリスクヘッジをすることが重要になってきます。

 

「分散投資」をして、適切なポートフォリオを組む。

株式投資の基本とも言える考え方ですが、常にこれを意識して、状況に応じて、ポートフォリオを適切にチューニングし最適化を図る。

 

言葉では理解していても、実践するのが難しいという方もいらっしゃるでしょう。

もちろん、分散投資は投資の基本でありながら、極意でもあるため、一朝一夕に身につくものでもありません。

 

市場が活性化している時期は、値動きも大きくなりがちで、利益も得やすい反面、損も大きくなりがちです。

こういった環境で安定的に利益を得るのは、個人には難しい場合もあるでしょう。

 

そんな時は、投資のプロである、ヘッジファンドがどのような運用をしているのか参考にしてもよいかもしれません。

HP等から直接問いあわせれば、何か有益な情報が掴めるかもしれません。

 

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