50歳からの資産運用 資産運用 金(きん)投資ってどうなの?金投資の特徴やメリット/デメリットを徹底的に解説!

金(きん)投資ってどうなの?金投資の特徴やメリット/デメリットを徹底的に解説!

現物資産の代表格である「金」への投資を検討したことがある人は少なくないでしょう。資産運用の一環としてポートフォリオに「金」を組み込むことは、はたして理にかなっているのでしょうか?
宝飾品として有名な「金」ですが実は資産運用の観点でもある一定の魅力があります。
今回は「金」という投資対象の特徴や、投資する際のメリットやデメリットを徹底的に解説していきます。

資産運用
最終更新日:2023年01月10日

金(きん)への投資と聞いて、どのようなイメージを持ちますか?

金融商品にある程度の理解がないと、パッとは浮かばないかもしれません。

 

装飾品として有名な金ですが、実は投資対象としても一定の魅力がありますし、資産運用の一部に組み込んでみるのも悪くはありません。

 

今回は「金」への投資を全くしたことがない方々に向けて、金という資産の魅力やメリット/デメリットなどをまとめました。

 

 

投資対象としての「金」

 

 金は太古の時代からその美しさと希少性、そして有用性により世界共通の資産として扱われてきました。

 

多くの人達が価値を見出せば、それは「通貨」として認識されるようになります。歴史を振り返ると、日本では「米」などが通貨として扱われていました。

 

しかし、あらゆる国の人々が同じように価値を見出すものはそう多くありません。

 

「金」は世界中の人にとって価値がある、そんな珍しいものの一つだったのです。

 

1970年代まで世界では金本位制がとられ、各国の紙幣は金に基づいて価値が決定していました。

世界中の人達が金に同等の価値を見出していたので、見知らぬ国の紙幣であっても「金の裏付けがある(金に換金できる)」という根拠を持って、自由にやりとりをすることができたのです。

 

金は世界中の人が価値を認めるものであり、またその他の様々な要因により、突然無価値になるということが起こりにくい、非常に信頼のおける資産の一つです。

 

特に、投資対象としては、株式や外貨・不動産などとは逆の値動きをするという傾向があり、特に経済状態が悪い時に良い値動きが期待できるという特徴があります。

このような特徴から、金は「有事の金」や「無国籍通貨」などと呼ばれており、非常に「ディフェンシブな性質の金融資産」として考えられています。

 

 

「金」の価格はどう決まるのか

 

ここまで、金の持つ価値や、金融資産としての特徴を解説してきましたが、ここからは「金の価格の決まり方」や「どの程度(の割合)保有すればよいのか」などを詳しく解説していきたいと思います。

 

金の価格推移

金の価格について、まずはチャートを見てみましょう。

長いスパンで見ると以下のような価格推移となっています。

参照:楽天証券 NY金(ゴールド)ロングチャート
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/commodity/lineup/gold/pdf/gold_ny.pdf

 

1980年頃に一度大きく値段を上げていますが、その後はまた400ドル/ozを推移しています。

2006年頃からまた大きく値を上げ始め、2011年〜2012年にかけて1,800ドル/ozまで高騰したのち、現在は1,200~1,400ドル/oz前後で上下しています。

※金の価格の単位:ドル/oz(トロイオンス)

 

もう少しスパンを短くして、今度は日経平均の値動きと比べてみましょう。

参照:「金」投資のメリット・デメリットを紹介!投資初心者が「金」投資を始めるなら「純金積立」「投資信託」「ETF」のどれが一番おすすめか?|投資信託おすすめ比較[2018]|ザイ・オンライン
http://diamond.jp/articles/-/123851

 

緑が日経平均、赤が金価格です(どちらも円建て)。

日経平均が大きく上下する一方で、非常に安定した値動きをしているのが分かるかと思います。

 

このように安定した値動きをする「金」ですが、この金の価格はどのように決定しているのでしょうか?

その答えは、金の需要と供給にあります。

 

 

金の需要と供給

金は世界中で自由に取引されており、需要と供給のバランスで価格が決まります。これが基本中の基本です。

 

まずは、金の需要から見ていきましょう。

出典:gold_2017_digest http://gold.tanaka.co.jp/market_data/gold_2017_digest.pdf

 

金の需要を見てみると、約50%を宝飾品が占めます。

「金」といえばアクセサリーに使用されるものの代表格ですから、違和感もないでしょう。

 

そして次に投資用の需要が続きます。

2012年前後は、投資用としての需要が拡大し、全体の35%程度を占めています。

 

右のグラフを見ると、宝飾品としての需要は比較的堅調な動きをしており、金の需要は主に投資用としての需要に左右されることがわかります。

 

次に金の供給を見てみましょう。

出典:gold_2017_digest http://gold.tanaka.co.jp/market_data/gold_2017_digest.pdf

 

金の供給量は、概ね横ばいが続いています。

かつては南アフリアが世界最大の産出国でしたが、生産量を減らし現在では中国が世界最大の供給国となっています。

 

つまり、供給量が基本的に変わらない以上、基本的には需要によって価格が決定されるのが「金」なのです。

特に、金の価格は投資用としての需要に左右されます。

 

ただし、近年は、鉱山でなく海底の金を採掘するパターンが増えてきているため、金の採掘には1オンスあたり1,000ドル近いコストがかかります。

そのため、金の価格が一定以下の水準になると採算が合わなくなり採掘がストップするという特徴もあります。

 

つまり、金の価格が下がり過ぎると、供給が絞られて価格の下落に歯止めがかかる仕組みになっているのです。これによって金の価格は大暴落を回避することができます。

 

 

投資用需要の傾向

では金の価格に最も影響を及ぼす「投資用需要」はどのように上下するのでしょうか?

 

例えばですが、

・トランプ政権の外交への不安により政治的なリスクが高まった場合、や
・テロの活発化によって地政学的なリスクが高まった場合、など

米ドル等が下がることを危惧したヘッジファンドやプロの投資家などがドルを売ります。

 

その際、他に値上がりしそうな資産(外貨や株式など)があればそれを持ちますが、世界的に経済的な不安感が高まっているときなど、めぼしいものが見つからないことも珍しくありません。

通貨や証券はどれもリスクが高く保有に値しないと判断した場合に、「金」を買う(持つ)という判断になるのです。

 

この一連の動きにより、ドルの価格が下がり、金の価格が上がります。一般的に、ドルと金には逆相関の関係が存在します。

「金」の価格がマクロ経済の流れと逆に動きやすいのは、このような仕組み・流れがあるためです。

 

反対に、世界経済に期待が高まっているときには、金への需要が低下し、価格も低下する傾向があります。

 

歴史を振り返ってみると、例えば、冷戦が終結した1989年は、アメリカのドルへの安心感が高まり、更にIT革命による企業成長への期待感も後押しして、「金売りドル買い(米国株買い)」が加速しました。

ここから10年間、金の価格は低迷します。

 

しかし、2000年になりITバブルが弾け、さらに2001年に同時多発テロが起こったことにより政治的な緊張感が高まると、今度は反対にドルから「金」へと資金が流れ込み、金の価格は上昇しました。

 

近年では、2008年にリーマンショックが起こると、米ドルへの信頼が暴落し、世界中のあらゆる金融商品の価格が下落。金も一時的には値を下げましたが、いち早く価格を戻しています。

 

 

投資対象としての「金」のメリットとデメリット

 

ここまで「金」の価格が決定する仕組みや、経済との関係を見てきましたが、最後に金融商品として、金に投資するメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

 

金投資には

1. リスク分散になる
2. 信用リスクがない
3. インフレに強い

というメリットと、

1. 好景気の波に乗れない
2. 配当や利息がない
3. 管理にコストがかかる

というデメリットがあります。

 

メリット1. リスク分散

これまで散々説明してきた通り、「有事の金」と言われるだけあって、世界的な金融危機などに備える意味で金は信頼できます。

 

株にしろ、外貨にしろ、不動産にしろ、景気の動向から逃れることはできませんが、「金」を保有することで世界的な経済のリスクを分散することができます。

そもそもドルや株式とは反対方向に値動きする傾向があるという特徴があり、暴落を回避することができるのです。

 

メリット2. 信用リスクがない

「金」は株や債券といった、「誰かの信用の元に成り立っているもの」と違い、現物に裏打ちされているので、信用リスクというものがありません。

 

分かりやすい言い方をすると、会社の倒産や国の破産などによっていきなり価値がゼロになるということがありません。一方で、株や債券、外貨などは、常にそのようなリスクをはらんでいます。

 

このように価値が現物に裏打ちされている金融商品を「実物資産」と呼びます。

また、株券や債券などは「ペーパー資産」などと呼ばれます。

 

メリット3. インフレに強い

歴史的に見ても、「金」はインフレに強いと言われています。

 

インフレというのは、現金の価値に対して物の価値が上がってしまうことです。

今持っている100円は、10年後も額面そのままの「100円」ですが、今日100円で買えたジュースは10年後には150円になっているかもしれません。

 

このように物の価値が上昇すると、元々手に入れられたものが買えなくなってしまい、相対的には損をしていることになります。これがインフレです。

 

金は現金ではなく「モノ」なので、基本的にはインフレしている時は合わせて価格が上がります。

つまり、資産が現金だと起こりうる資産の目減りを防ぐことができるのです。

 

デメリット1. 好景気の波に乗れない

これは、1つ目のメリットである「リスク分散」と表裏一体ですが、金を保有していると基本的には好景気の波に乗って儲けるということができません。

 

例えば全世界の経済が順調だった1990年から2000年の間で、ダウ平均株価は約4倍になっていますが、金の価格はほとんど横ばいです。

金ではなかなか大きく儲からないのです。

 

デメリット2. 配当や利息がない

これは現物であることによるデメリットです。

株式や債券といったペーパー資産と違い、金では配当や利息を得られません。

この点も、金を保有しているだけで大きく資産を増やすのが難しいことに繋がります。

 

デメリット3. 管理にコストがかかる

これも現物であるからこそのデメリットです。

「金」は場所も取る上に、そのもの自体が盗まれてしまうというリスクがあります。特定の業者に委託して保管してもらうという方法もありますが、その場合には管理手数料がかかります。

電子データで管理できる株や外貨などとは管理にかかるコストが桁違いなのです。

 

 

資産運用(ポートフォリオ)に「金」を組み込むおすすめの方法

 

さて、これまで金の値動きや価格決定方法について詳しく解説してきましたが、それでは実際に資産運用を考えた場合、どの程度金を保有するべきなのでしょうか。

 

ポートフォリオと言っても、総運用額が1,000万円未満の場合には基本的に守りの資産を持つ必要はないと私は考えています。

 

と言うのも、1,000万円のいくらかを守りの資産に傾けたところで、有事の際のリスク回避もせいぜい数万〜数十万円にしかなりません。

 

であれば、収入を増やすなり、支出を減らしてまずは投資額を増やすなりといった方向の努力をすべきなのではないかと思うのです。

そして運用はある程度リスクをとったものにし、儲けることを考えた方が良いでしょう。

 

500万円〜1,000万円を運用する方法については以下の記事で解説しているので、参考にしていただければと思います。

➡︎ 【おすすめ運用プラン】500万円を元手に年20%のリターンを狙う強気プラン
➡︎ 【おすすめ運用プラン】1,000万円を元手に老後資金1億円を積み立てる方法

 

一方で、数千万円〜1億円とまとまった資金があるのであれば、金への投資は非常に有用なものであると考えられます。

世界的な金融恐慌などが起き、全ての資産が値下がりしてしまうようなリスクに備え、一部の資金を「金」として保有しておくと良いでしょう。

 

ポートフォリオの割合は、日本の中央銀行の運用比率が参考になるでしょう。資産全体の7~10%が目安になるかと思います。

例えば5,000万円を運用するのであれば、以下のようなバランスでの運用がオススメです。

・国内株式ヘッジファンド :2,500万円
・国内独立系投資信託(ひふみ投信):1,000万円
・米国債券 :1,000万円
・金 :500万円

 

金のような守りの資産と相性の良いファンドについては、おすすめをランキング形式で紹介しているので、興味のあり人は是非参考にしてみてください。

▼おすすめファンドランキングはこちら

 

 

金とプラチナ − 投資対象としてのプラチナの特徴 –

 

さて、最後に、金と並列で扱われやすい「プラチナ」についても言及しておこうかと思います。

 

結論から言うと、投資対象としてプラチナを保有するのは、おすすめしません。

金と同様、貴金属で高価なイメージがあり、同じようなものと考えてしまう人もいるかもしれませんが、金融商品としての性質は少し異なります。

 

プラチナの価格推移

まずは「プラチナ」の価格推移を見てみましょう。

参照:プラチナ相場はバブルだったのか? チャートで振り返ってみる | 投信1 | 1からはじめる初心者にやさしい投資信託入門
http://www.toushin-1.jp/articles/-/1304

 

2015年までのものになってしまいますが、このグラフを見て頂ければ分かる通り、金と比較してプラチナの価格は値動きの幅が大きくなっています。

 

特に特徴的なのは2008年リーマンショックのタイミングです。このとき、プラチナは大きく価格を下げています。

また、金と比較して、短期的な値動きも激しいのが特徴です。

総じて、「安定していない」ということが言えます。

 

プラチナはなぜ安定しないのか

プラチナも、金と同様に需給と供給のバランスで価格が決定します。

しかし、プラチナの需給は金よりも激しく変化する理由があります。

 

その理由の1つは、そもそものマーケットの大きさです。

プラチナは金よりもずっと希少性が高く、そもそも市場に出回っている数が少ないので、必然的にマーケット(市場)も小さくなります。

そのため、ちょっとした要因で大きく需給のバランスが変わってしまいます。

 

需要面を見ると、宝飾需要が主で安定している金とは違い、プラチナは、需要の約60%が工業用です。

特に多いのはディーゼル車の排ガス触媒など、自動車向けです。これは、全世界の自動車の需要に明確に相関するので、景気に大きく左右されることになります。

 

また供給面も、金とは違い、プラチナは南アフリカ一国に偏っています。

約70%が南アフリカから採取されているので、南アフリカの社会情勢が不安定になると、供給量に大きく影響を及ぼすことになります。

 

結果的に、需要・供給ともに不安定なプラチナは、短期間で大きく値が動くことになります。

結論としてはプラチナは資産運用として優れている側面が少なく、基本的には投機目的の商品と考えた方が良いでしょう。

 

 

まとめ

 

今回は金とプラチナについて、投資対象としての特徴やメリット/デメリットを分析しました。

 

 金 は守りの資産として一定の魅力があること、そしてプラチナはどちらかと言うと投機的な商品であることが理解頂けたかと思います。

 

50歳からの資産運用では「金」やプラチナ以外にも、株式、外貨、保険、ファンドなど、様々な金融商品について資産運用の観点から考察した記事を公開しています。

是非様々な選択肢(オプション)を検討し、より質の高い資産運用を目指していただければと思います。

▼おすすめファンドランキングはこちら